フランシスコ会レコレ派修道院
フランシスコ会レコレ派修道院は、フランスの歴史的な都市ヴェルサイユに現存する建物です。この修道院は、17世紀のルイ14世統治下の時代、1684年に国王自身の命によって建設されました。建立の目的は、当時従軍聖職者として仕えていたキリスト教カトリックのフランシスコ会修道士たちを、宮殿の近隣に居住させるためでした。「レコレ（Récollets）」とは、16世紀に成立し、フランス、ドイツ、オランダといった地域に広がりを見せたフランシスコ会の一派を指す名称です。
設立から約一世紀後、フランス革命という歴史的な転換期を迎えると、修道会はここを退去することになります。19世紀からはフランス陸軍によって使用されるようになり、現在（2016年時点の情報に基づく）に至るまで、フランス軍関係の建物として利用されています。入り口には、フランス国防省の一部門である「«Service Technique des Bâtiments Fortifications et Travaux»」（防衛インフラ整備に関する研究部門）の看板が掲げられています。
そのため、通常は内部が一般公開されていません。しかし、ヴェルサイユ市が主催する屋外演劇イベントであるモリエール月間などの特定の機会においては、状況が許せば扉が開かれることもあります。
この修道院は、ヴェルサイユ宮殿を正面に見て左手に広がる旧市街の一角、具体的には9 rue des Récolletsに位置しています。2013年に開業した文化・商業施設「ラ・クール・デ・サントゥール」（「香りの中庭」の意）の裏手に当たる場所です。
歴史を遡ると、この地の開発はヴェルサイユへの宮廷移転準備と深く関連しています。1672年から1673年にかけて、ルイ14世は当時唯一存在した小さな教会、サンジュリアン教会を取り壊し、宮殿を挟んで反対側の新市街（現在のノートルダム街）に同名の新しい教会を建設することを決定しました。1682年、フランス宮廷のヴェルサイユへの移転が完了し、この地が国の政治の中心となります。
1682年から1686年にかけて、王の第一建築家であったジュール・アルドゥアン＝マンサールは、最初のサンジュリアン教会の跡地に、宮廷の台所として機能する別館「グラン・コミュン（Grand Commun）」を建設しました。また、宮廷と新市街のための教区教会が必要となったため、仮設的な存在であった二番目のサンジュリアン教会の跡地では、1684年からマンサールの設計によるノートルダム教会の建設が開始されます。同じ建築家マンサールは、これと並行して、旧市街の教区教会としても機能できるよう、グラン・コミュンの裏手にレコレ修道院を建設しました。市内のランビネ美術館には、この修道院で使われていた鐘が収蔵されており、その一つには1684年を示す銘が刻まれています。
フランス革命期の1789年、球技場の誓いの後、第三身分の議員が聖職者（第一身分）に新たに合流するための場所を求め、6月22日にこの修道院への立ち入りを修道士たちに求めましたが、これは却下されました。同日、球技場の誓いと同様の宣誓は、サンルイ教会（現在のサンルイ大聖堂）にて行われています。
1793年には、修道院は一時的に刑務所として利用されるようになります。そして1796年、崩壊寸前の状態にあった教会の建物は、rue St Julien（サンジュリアン通り）からrue du Jeu de Paume（ジュ・ド・ポーム通り）へ通じる通路を開設するという名目で、ファサード部分を残して取り壊されました。ただし、この通路はその後実際に整備されることはありませんでした。
19世紀以降、修道院の建物には軍関係者が常駐するようになり、この状況は現在まで続いています。特に1914年には、この場所から第五工兵連隊が第一次世界大戦へと出征しました。
建物の修復も行われています。1985年には、正面の教会入り口扉周辺の修復が実施されました。扉の上に施された彫刻は、創建当時のオリジナルがそのまま保存されています。
敷地の一部は、市民に開かれた公園として整備されています。2001年には、当時のヴェルサイユ市長エチエンヌ・パント氏により「ジャルダン・デ・レコレ」（レコレ公園）として開園しました。さらに、2013年には市の新たな整備計画「ラ・クール・デ・サントゥール」の一環として、庭園設計家ニコラ・ジルスール氏によってデザインが刷新され、「ジャルダン・デ・サントゥール」（香りの庭）と改称されています。
建物の構造は、中央に中庭を配置し、その四方を建物が囲む形式をとっています。建物の南側には柱廊が設けられており、フランス式庭園を取り囲むようになっています。かつては建物の北側に、身廊のみのバジリカ式の教会が東西方向に接続していましたが、これは1796年に取り壊されました。現在、教会の跡地は敷石で舗装され、中庭の一部として保存されています。フランス式庭園は、修道院の柱廊によって部分的に囲まれています。建物の北側部分は、2013年以降、「クール・デ・サントゥール」との境界となっています。
教会の正面扉はrue des Récollets（レコレ通り）に面しており、フランス革命以前は、ミサに訪れる地域住民のために開かれていました。扉の上部にはペディメントが飾られています。教会入り口から左手、西側の建物は、クール・デ・サントゥールの脇の入り口まで続いています。建物の南側の塀には、一人分ほどの幅の小さな通用門も設けられています。正面奥、東側を背にした建物の後ろの土地は、2001年から公園として市民に開放されています。
フランシスコ会レコレ派修道院は、ヴェルサイユの歴史、特にルイ14世の宮廷建設とフランス革命という激動の時代を経て、現在もなおその姿をとどめる貴重な歴史的建造物です。
設立から約一世紀後、フランス革命という歴史的な転換期を迎えると、修道会はここを退去することになります。19世紀からはフランス陸軍によって使用されるようになり、現在（2016年時点の情報に基づく）に至るまで、フランス軍関係の建物として利用されています。入り口には、フランス国防省の一部門である「«Service Technique des Bâtiments Fortifications et Travaux»」（防衛インフラ整備に関する研究部門）の看板が掲げられています。
そのため、通常は内部が一般公開されていません。しかし、ヴェルサイユ市が主催する屋外演劇イベントであるモリエール月間などの特定の機会においては、状況が許せば扉が開かれることもあります。
この修道院は、ヴェルサイユ宮殿を正面に見て左手に広がる旧市街の一角、具体的には9 rue des Récolletsに位置しています。2013年に開業した文化・商業施設「ラ・クール・デ・サントゥール」（「香りの中庭」の意）の裏手に当たる場所です。
歴史を遡ると、この地の開発はヴェルサイユへの宮廷移転準備と深く関連しています。1672年から1673年にかけて、ルイ14世は当時唯一存在した小さな教会、サンジュリアン教会を取り壊し、宮殿を挟んで反対側の新市街（現在のノートルダム街）に同名の新しい教会を建設することを決定しました。1682年、フランス宮廷のヴェルサイユへの移転が完了し、この地が国の政治の中心となります。
1682年から1686年にかけて、王の第一建築家であったジュール・アルドゥアン＝マンサールは、最初のサンジュリアン教会の跡地に、宮廷の台所として機能する別館「グラン・コミュン（Grand Commun）」を建設しました。また、宮廷と新市街のための教区教会が必要となったため、仮設的な存在であった二番目のサンジュリアン教会の跡地では、1684年からマンサールの設計によるノートルダム教会の建設が開始されます。同じ建築家マンサールは、これと並行して、旧市街の教区教会としても機能できるよう、グラン・コミュンの裏手にレコレ修道院を建設しました。市内のランビネ美術館には、この修道院で使われていた鐘が収蔵されており、その一つには1684年を示す銘が刻まれています。
フランス革命期の1789年、球技場の誓いの後、第三身分の議員が聖職者（第一身分）に新たに合流するための場所を求め、6月22日にこの修道院への立ち入りを修道士たちに求めましたが、これは却下されました。同日、球技場の誓いと同様の宣誓は、サンルイ教会（現在のサンルイ大聖堂）にて行われています。
1793年には、修道院は一時的に刑務所として利用されるようになります。そして1796年、崩壊寸前の状態にあった教会の建物は、rue St Julien（サンジュリアン通り）からrue du Jeu de Paume（ジュ・ド・ポーム通り）へ通じる通路を開設するという名目で、ファサード部分を残して取り壊されました。ただし、この通路はその後実際に整備されることはありませんでした。
19世紀以降、修道院の建物には軍関係者が常駐するようになり、この状況は現在まで続いています。特に1914年には、この場所から第五工兵連隊が第一次世界大戦へと出征しました。
建物の修復も行われています。1985年には、正面の教会入り口扉周辺の修復が実施されました。扉の上に施された彫刻は、創建当時のオリジナルがそのまま保存されています。
敷地の一部は、市民に開かれた公園として整備されています。2001年には、当時のヴェルサイユ市長エチエンヌ・パント氏により「ジャルダン・デ・レコレ」（レコレ公園）として開園しました。さらに、2013年には市の新たな整備計画「ラ・クール・デ・サントゥール」の一環として、庭園設計家ニコラ・ジルスール氏によってデザインが刷新され、「ジャルダン・デ・サントゥール」（香りの庭）と改称されています。
建物の構造は、中央に中庭を配置し、その四方を建物が囲む形式をとっています。建物の南側には柱廊が設けられており、フランス式庭園を取り囲むようになっています。かつては建物の北側に、身廊のみのバジリカ式の教会が東西方向に接続していましたが、これは1796年に取り壊されました。現在、教会の跡地は敷石で舗装され、中庭の一部として保存されています。フランス式庭園は、修道院の柱廊によって部分的に囲まれています。建物の北側部分は、2013年以降、「クール・デ・サントゥール」との境界となっています。
教会の正面扉はrue des Récollets（レコレ通り）に面しており、フランス革命以前は、ミサに訪れる地域住民のために開かれていました。扉の上部にはペディメントが飾られています。教会入り口から左手、西側の建物は、クール・デ・サントゥールの脇の入り口まで続いています。建物の南側の塀には、一人分ほどの幅の小さな通用門も設けられています。正面奥、東側を背にした建物の後ろの土地は、2001年から公園として市民に開放されています。
フランシスコ会レコレ派修道院は、ヴェルサイユの歴史、特にルイ14世の宮廷建設とフランス革命という激動の時代を経て、現在もなおその姿をとどめる貴重な歴史的建造物です。
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