フランスの地域圏

フランスの地域圏

フランスにおける地域圏（フランス語: région レジオン）は、地方行政において最も大きな単位であり、州に相当するものと考えられています。フランス国内では、地域圏は全部で18あり、13は本土およびコルシカ島を含むヨーロッパの領土に、残る5つはヨーロッパ以外の海外の領土に存在しています。本土の地域圏は、さらに複数の県に分かれており、日本の文献では「地方」や「州」として紹介されることが多いです。

地域圏の構造と歴史

フランスの地方行政制度は、従来、県とコミューンという二層構造で運営されていました。しかしながら、交通網の発展に伴い、人や物の流通範囲が拡大する中で、当初の狭い区分では効率的な行政運営が難しくなりました。これを受けて、1964年に地域圏が設立され、複数の県をまとめて管理する新たな枠組みが導入されました。

設立時には、地域圏知事は国から任命され、中央政府の出先機関としての役割がありましたが、1982年に施行された「地方分権法」により、自治権が与えられました。これにより、地域圏議会やその議会から選出される地域圏議長が設置され、地域圏に住む住民が直接投票により議員を選出できるようになりました。地域圏議会の議員選挙は比例代表制を採用し、必要に応じて二回投票が行われます。

自治権の獲得と機能

2002年からは、近郊鉄道の運営権が中央政府から地域圏に移譲され、以後、教育、医療、社会インフラに関する権限も地方に移行することで、地方分権が進められました。2004年には「地域の自由と責任に関する法律」が成立し、道路や港湾、空港の管理権限が地域圏に与えられる方向で進んでいます。

この法律に基づき、鉄道関連のインフラ管理がフランス鉄道線路事業公社（RFF）に引き継がれ、運営に関しては地域圏とフランス国鉄(SNCF)の協力により行われることとなりました。このようにして地域の自主性が徐々に確立され、地方行政の効率化と住民サービスの向上が図られています。

海外地域圏

フランスには本土に加え、特に海外地域圏という仕組みも存在します。これらはすべて海外県を兼ねており、国内外の政策や管理を一元化しています。たとえば、マヨットは2003年に海外準県から昇格し、5つ目の海外地域圏として位置付けられることとなりました。

結論

フランスの地域圏は、地方行政の重要な基盤を成しており、歴史的にも進化を続けてきました。地域圏制度の導入以降、自治権の拡充が進み、効率的な行政サービスが実現しています。地域圏の再編や権限移譲は、今後も地域の特性に応じた柔軟な行政運営を可能とし、住民の生活を支える重要な役割を果たすでしょう。

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