フランス・ポスト

フランス・ポストの生涯と作品

フランス・ポスト（Frans Janszoon Post, 1612年 - 1680年）は、オランダ出身の画家で、アメリカ大陸の風景を描いた最初のヨーロッパ人として知られています。彼は1636年、ヨハン・マウリッツの招聘を受けてオランダ領ブラジルを訪れることになります。この訪問こそが、ポストにとって画家としてのキャリアを決定づける重要な出来事となりました。

初期の経歴

ポストはハールレムで生まれ、父ヤン・ヤンスゾーン・ポストはガラス塗装工でした。兄のピーテル・ポストは著名な建築家であり、ポストにとっては刺激的な環境だったことでしょう。彼の若い頃に関する詳しい情報はほとんど残っていませんが、1612年頃に生まれ、両親のもとで学びながら成長したと考えられています。一説には、職人のもとで学びながらキャリアを積んでいたかもしれませんが、ブラジルに渡る以前は特定のギルドに所属してはいなかったようです。

1637年、ポストはフレデリック・ヘンドリックから800ギルダーの報酬を得て、西インド諸島の風景を描く依頼を受けます。この依頼を機に、彼はブラジルでの生活を始め、1644年までの約7年間をそこで過ごしました。その後、1646年にはハールレムの聖ルカ組合に登録し、さらに1650年には結婚し、子どもにも恵まれました。

ブラジルでの活動

ポストのブラジルにおける活動は、彼の作品に大きな影響を与えました。彼の手による作品は約140点残っており、そのうちの半分には日付が記されています。ブラジル滞在中に描かれた作品と、帰国後の作品には顕著なスタイルの違いが見られます。ブラジル時代には素描やエッチングが多く制作されましたが、油彩画はわずか6点にとどまります。彼の絵画には地形的な正確さがあり、ブラジルの景観や動植物が生き生きと描かれています。特に、空の表現においては、雨を示唆するような灰色の描写が多く見受けられ、そのため彼の作品には独特の雰囲気があります。

帰国後の作品

1642年にオランダに帰国した後も、ポストは想像を膨らませてブラジルの風景を描き続けました。しかしその際、彼のスタイルは変化していきます。明るい色彩やエキゾチックな要素が作品に加えられ、人物描写も増えていきました。ブラジル時代の作品の中で、登場する人物は2点を除いては描かれており、彼らの活動が風景の中でどのように描かれているのか、観る者に強い印象を与えました。ポストはフレデリック・ヘンドリックの依頼でブラジルの風景を記録していましたが、もう一人の画家アルベルト・エックハウトは原住民の文化を描写する役割を担っていました。

最後の日々

ポストは1669年までブラジルの風景を描き続けていましたが、1670年代の作品はほとんど残っていません。晩年にアルコールの問題を抱え、彼の人生や活動についての情報は限られています。1680年、ポストはハールレムで亡くなり、そこで土葬されました。彼の作品は、後の世代のアーティストたちに大きな影響を与え、今なお評価され続けています。

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