フランス労働党 (POF)

フランス労働党（Parti Ouvrier Française, POF）は、1880年から1901年にかけて存在したフランスの社会主義政党です。フランスにおける最初の本格的な社会主義政党として、後のフランス社会党やフランス共産党の源流となりました。

結成の背景

1879年、パリ・コミューン参加者への恩赦を機に、社会主義者たちは公然と活動を開始しました。マルセイユ大会でフランス労働党の結党が決議され、ジュール・ゲード、ポール・ラファルグらがマルクス、エンゲルスらの協力を得て綱領を執筆。1880年のル・アーブル大会で承認され、正式に結党されました。

初期の活動と分裂

当初、POFは民衆の離反を恐れ、「集産主義」革命を標榜し、マルクス主義者、社会改良主義者、アナキスト、サンディカリストなど、多様な左翼勢力が結集しました。しかし、結党翌年の1881年にはブランキストやアナキストが離党。1882年にはポール・ブルスらの「ポシビリスト」（改良主義者）がフランス社会主義労働者連盟（FTSF）として分離独立し、ゲードの指導が確立しました。

マルクス主義の導入と限界

ゲードの下で、POFはフランスへのマルクス主義理論の導入に貢献しました。しかし、その紹介は教条主義的・機械的であり、マルクス自身も「私に分かることは、私はマルクス主義者ではないということだ」と皮肉りました。また、中央集権的な指導による労働組合の支配は、労働組合からの反発を招き、アナルコ・サンディカリスムや革命的サンディカリスムへの傾斜を生みました。

合法運動への傾斜と終焉

1890年代になると、POFは教条主義・セクト主義的傾向を脱し、近代政党として合法運動で勢力を拡大しました。しかし、その一方で改良主義・議会主義に傾き、革命への展望を放棄する結果となりました。ゲードは革命運動の建て直しを図り、ドレフュス事件など右翼の台頭に対して社会主義者の大同団結を呼びかけました。しかし、1899年のアレクサンドル・ミルランの入閣問題をめぐり、社会主義者は支持派と反対派に分裂。POFは入閣反対の立場で革命的社会党（PSR）と合同し、1901年にフランス国社会党（PSDF）を結成し、その歴史を終えました。

フランス労働党は、フランス社会主義運動の黎明期において、マルクス主義の導入や労働者階級の政治組織化に重要な役割を果たしました。その内部における思想的な対立や路線の変遷は、後の社会主義運動に大きな影響を与えました。

参考文献

• - 新田俊三 「フランス労働党」「フランス社会党」 『現代マルクス＝レーニン主義事典』（下） 社会思想社、1981年
• - 湯村武人 「フランスの社会主義運動」 同上
• - 古賀英三郎 「フランス社会主義」 『社会思想事典』 中央大学出版部、1982年
• - 堀井敏夫 「労働党［フランス］」 『新編西洋史辞典』 東京創元社、1983年

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