社会思想社

株式会社社会思想社の概要

株式会社社会思想社（しゃかいしそうしゃ）は、かつて東京都文京区本郷に存在していた出版社で、1947年にその事業をスタートしました。特に、1951年に創刊した現代教養文庫は同社の中核をなすシリーズとして多くの読者に支持されました。しかし、経営の厳しさが増し、2002年には事業を停止しました。

創業と初期の発展

社会思想社は、河合栄治郎の弟子たちによって立ち上げられた社会思想研究会から出版部門として派生したもので、1948年にはルース・ベネディクトの『菊と刀』やアーノルド・J・トインビーの『歴史の研究』などの翻訳本を世に送り出しました。このような早期の成功によって、出版事業は順調に推移し、1951年に現代教養文庫を創刊しました。この文庫は、教養の普及を目指す河合の理念を引き継ぎ、難解な哲学や社会学の著作を分かりやすく提供する役割を果たしました。

独立と成長

1962年、社会思想研究会出版部から株式会社社会思想社として自主独立し、同社はその後も成長を続けました。特に、創立20周年を迎えた1967年には『河合栄治郎全集』を全23巻で刊行し、その後も多様なジャンルの書籍を手掛けました。1977年にアレックス・ヘイリーの『ルーツ』の翻訳出版や、1984年から開始したファイティング・ファンタジーシリーズの刊行により、ゲームブックブームを先導しました。

出版物の多様性

社会思想社はその出版物の幅広さでも知られています。文庫本以外にも、学術書、翻訳書、娯楽向けの書籍、さらには雑誌類も出版しており、特に「ウォーロック」と呼ばれるゲームブック専門誌は、後のロールプレイングゲーム（RPG）ブームを先駆ける存在でした。1990年には、エリス・ピーターズの修道士カドフェルシリーズの翻訳も開始し、その人気は長年にわたりました。

経営の悪化と廃業

しかし、1990年代に入ると、ゲームブックブームやRPGブームの終息、さらには経済のバブル崩壊など、外部環境が厳しくなったことで経営が悪化し始めました。1990年代後半には出版不況の影響も受け、赤字経営が続きました。2002年6月、最終的には事業の清算が決定され、負債総額はおよそ6億円に達していました。

歴代社長とその背景

株式会社社会思想社の歴代社長には、土屋実、元『中央公論』編集長の小森田一記、そして廃業時には宮川安生が名を連ねています。彼らはそれぞれ、出版社の運営に多様な視点と経験を持ち込み、社の成長に寄与しました。

まとめ

社会思想社は、その豊富な出版物によって日本の文化や知識の普及に多大な貢献をしましたが、経済情勢の変化に伴い、その役割を終えました。彼らが生み出した書籍やシリーズは、今もなお多くの読者に愛されています。

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