フランス社会主義労働者連盟

フランス社会主義労働者連盟（FTSF）は、1882年にポール・ブルスとジャン・アルマーヌによって結成された社会主義政党です。これは、ジュール・ゲードを中心とする労働党（POF）から分裂する形で生まれました。FTSFは、現在のフランス社会党の源流の一つとされています。

沿革

FTSF結成の背景には、POF主流派の集産主義的革命主義に対する異議がありました。ブルスとアルマーヌは、可能な範囲で漸進的な社会改革を追求する「ポシビリズム（可能主義）」を提唱しました。この路線は、急進的な変革よりも現実的な改革を重視するものでした。

FTSFは、POF主流派の中央集権的な組織運営を批判し、分権的な党組織を主張しました。彼らは、資本主義の発展に伴い独占資本が形成され、国家の介入を通じて公社化し、集団所有へと移行することで社会主義が実現すると構想しました。この理論は「公共サービス」理論と呼ばれ、同時代のイギリス社会主義に見られる労働組合主義との類似性も指摘されています。

1890年には、アルマーヌがFTSFを離党し、革命的社会主義労働党（POSR）を結成しました。1899年に社会主義者のアレクサンドル・ミルランが入閣した際には、FTSFは入閣を支持する立場をとりました。この入閣問題は、当時の社会主義運動における大きな論点の一つでした。

1902年、FTSFはPOSRおよびジャン・ジョレスら独立派（無所属系）社会主義者（SI）と合同し、フランス社会党（PSF）を結成しました。この合同により、フランス社会主義運動は新たな段階へと進むことになりました。

特徴

ポシビリズム: 漸進的な社会改革を重視する立場。
分権主義: 中央集権的な組織運営を批判し、分権的な組織を主張。
公共サービス理論: 資本主義の発展に伴う公社化と集団所有による社会主義の実現を構想。

参考文献

新田俊三 「フランス社会党」 『現代マルクス＝レーニン主義事典』 社会思想社、1981年
湯村武人 「フランスの社会主義運動」 同上
古賀英三郎 「フランス社会主義」 『社会思想事典』 中央大学出版部、1982年
堀井敏夫 「社会主義労働者同盟」 『新編西洋史辞典』 東京創元社、1983年

関連項目

フランス社会党 (SFIO)
革命的社会党 (フランス)
第二インターナショナル

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