フランス選手権トップ14

トップ14（ラグビーユニオンフランス選手権）

フランスにおけるラグビーユニオンの最高峰プロリーグは、正式名称をラグビーユニオンフランス選手権といい、通称「トップ14」として親しまれています。これは、参加チーム数が14であることに由来する呼称です。1892年にその歴史をスタートさせた本リーグは、英国のプレミアシップやユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップと並び、欧州におけるラグビーユニオン界で最も権威ある大会の一つと広く認識されています。

大会形式

レギュラーシーズンは、全参加チームがホーム・アンド・アウェー方式で対戦する総当たり戦で行われます。この結果に基づき、シーズン終了時の順位によって、各チームのその後の運命が決まります。

プレーオフ: レギュラーシーズンを6位以内で終えたチームがポストシーズンに進出します。3位から6位までのチームが準々決勝で対戦し、この勝者2チームが、レギュラーシーズンを1位または2位で終えて準決勝からの出場権を得たチームと顔を合わせます。準決勝を勝ち抜いたチームが決勝で優勝を争います。
昇降格: レギュラーシーズンで最下位の2チームは、自動的にフランスラグビーの2部リーグにあたるプロD2へ降格となります。プロD2の上位チームが次シーズンにトップ14へ昇格します。
欧州カップ出場権: レギュラーシーズン上位8チームには、翌シーズンの主要な欧州クラブ大会であるヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップへの出場権が与えられます。一方、下位8チームは、もう一つの欧州クラブ大会であるEPCRチャレンジカップに出場します。

ブレニスの盾

トップ14の年間王者に輝いたチームには、栄光の証として「ブレニスの盾」（Bouclier de Brennus）が授与されます。この盾の名前は、フランスラグビーの黎明期に多大な貢献をしたシャルル・ブレニス氏に由来します。彼はフランス・スポーツ競技社団連合（USFSA）のラグビー委員会で、20年近くにわたり会長を務めました。トロフィー自体は、近代オリンピックを復興させたピエール・ド・クーベルタン男爵のデザインに基づき、大会初年度の1892年に製作されたもので、以来、優勝チームに贈られ続けています。

ブレニスの盾は、ラグビーのトロフィーとしては異例の大きさを誇ります。そのサイズは高さ約1メートル、幅約75センチメートル、厚さ約2.5センチメートル、重さ約20キログラムにも及びます。真鍮でできた盾本体とプレートが、堅固なトネリコ材の台座に固定された構造となっています。

リーグの軌跡

フランス選手権の歴史は、1892年3月20日に行われたラシン・クラブ・ド・フランスとスタッド・フランセの対戦から始まりました。ラシン・クラブ・ド・フランスが4対3で勝利したこの試合が、今日のトップ14につながる最初の公式戦と位置づけられています。

第一次世界大戦や第二次世界大戦といった戦禍、そして近年の新型コロナウイルスのパンデミックによるシーズン中断はありましたが、それらの例外を除き、大会は毎年欠かさず開催され、フランス国内のクラブラグビーにおける最高峰の地位を確立していきました。戦時中には「Coupe de l'Espérance」という少年大会が代替として開催された時期もありました。

リーグは1995-96シーズンにラグビーユニオンがプロ化されたことを機に大きな変革期を迎えます。プロ化以前は多くのクラブが参加していましたが、次第にプロフェッショナルな体制を持つクラブに限定されるようになり、2001年には参加チームが16に集約され、大会名称も「トップ16」へと変更されました。さらなるリーグの質的向上と競争力強化を目指し、2005-06シーズンにはチーム数が14に削減され、現在の「トップ14」という名称が定着しました。

プロ化後の初期およそ13年間は、スタッド・フランセ・パリ、スタッド・トゥールーザン、ビアリッツ・オランピックの3チームが優勝をほぼ独占する時代が続きました。しかし、リーグ全体のレベルアップと共に、近年は他のチームも優勝争いに加わるようになり、競争が激化しています。

リーグ創設以来、最も多く優勝杯を掲げているのはスタッド・トゥールーザン（トゥールーズ）であり、その優勝回数は2024シーズン終了時点で23回を数えます。

日本人選手の足跡

日本のラグビー界からも、トップ14の舞台で活躍した選手たちがいます。

2016-17シーズンには、キッカーとして名高い五郎丸歩選手がRCトゥーロンに所属しました。
2020年から2022年にかけては、快足ウイングの松島幸太朗選手がASMクレルモン・オーヴェルニュでプレーしました。
パワフルなテビタ・タタフ選手は、2023-24シーズンからユニオン・ボルドー・ベグルに加入し、そのシーズンでトップ14最優秀選手候補にノミネートされる目覚ましい活躍を見せました。
* 2024-25シーズンからは、スクラムハーフの齋藤直人選手が最多優勝を誇るスタッド・トゥールーザンに所属しており、リーグ戦で初トライを挙げるなど存在感を示しています。

視聴方法

日本国内でトップ14の試合を視聴する方法としては、過去にはWOWOWやテレ朝チャンネルでの放送がありました。近年では、HuluやJ:COMを通じて視聴可能なTV5MONDEチャンネルで一部試合が放送されることがあります。また、YouTubeのトップ14公式チャンネルでは、各試合の数分程度のダイジェスト動画や、見どころとなる好プレー集が多数公開されており、手軽にリーグの雰囲気に触れることができます。

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