フランス郵政公社

フランス郵政公社（ラ・ポスト）の歴史と事業

フランス郵政公社、通称ラ・ポストは、フランスとその海外領土において郵便事業を展開する公共企業体です。モナコやアンドラなどでもサービスを提供しており、フランス社会に深く根付いた存在と言えるでしょう。その歴史は古く、15世紀にまで遡ります。

ルーツと歴史的変遷

ラ・ポストの起源は、1477年、ルイ11世の治世にまで遡ります。当初は王室のメッセージや使者の送達を担っていましたが、1576年になって初めて民間の手紙や荷物の運搬が許可されました。

17世紀初頭には、フランス郵政省の原型となる「poste aux lettres」が設立され、組織としての基盤が確立されていきます。その後、1879年には電信省と合併し、「Les Postes, Télégraphes et Téléphones (PTT)」となり、郵政電信省の傘下に入りました。

第二次世界大戦後の1946年には、PTTの下に電信電話総局（DGT）と郵便総局（DGP）の2部門が設置され、組織体制が整備されます。1988年にはDGTがフランステレコムとして独立し、1990年のPTT再編を経て、1991年1月1日、ラ・ポストは商工業的公共施設法人として新たな出発を迎えました。

多角化する事業内容

ラ・ポストは、郵便事業を基幹事業としながらも、時代の変化に合わせて多角的な事業展開を進めてきました。

郵便事業: 国内外の郵便物の配達、国際郵便、急送便などが主な業務です。国際郵便や急送便はグループ会社であるクロノポストが担っています。

金融事業: 2006年1月1日に設立された郵便貯金銀行「La Banque Postale」は、重要な収益源となっています。多くのフランス国民が利用する身近な金融機関として、その存在感を増しています。

通信事業: ラ・ポストモバイルは、SFRとの合弁事業として携帯通信事業を展開しており、多くの契約数を獲得しています。

その他: 「@laposte.net」などのメールアドレスの提供、不動産事業など、多様なサービスを展開しています。

効率化と近代化への取り組み

近年、ラ・ポストでは効率化に向けた取り組みが進められています。従業員数は2019年時点で約24万人と大規模ですが、パートタイム化の推進など、組織の最適化が進められています。

輸送手段と歴史的役割

かつては、パリ、マコン、カヴァイヨン間を結ぶ高速郵便列車「TGV postal」が夜間運行されており、迅速な郵便輸送を支えていました。2015年まで運行されたこの列車は、ラ・ポストの歴史において重要な役割を果たしました。

ラ・ポストの現在と未来

ラ・ポストは、伝統と革新を融合させながら、フランス社会の重要なインフラとして、その役割を担い続けています。郵便事業にとどまらず、金融、通信など多様な分野に事業を拡大し、現代社会のニーズに応えながら、今後も発展を続けることが期待されます。その歴史と規模、そして多角的な事業展開は、フランス経済社会を語る上で欠かせない要素となっています。

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