フランス領ウバンギ・シャリ

フランス領ウバンギ・シャリ：中央アフリカの植民地時代と独立への道筋

フランス領ウバンギ・シャリは、1903年から1958年にかけて、中央アフリカに存在したフランスの植民地です。ウバンギ川とシャリ川という二つの主要な水系に沿って広がり、その歴史は、植民地支配、領土紛争、そして最終的には独立へと至る複雑な道のりを示しています。この地は、長い間フランス領赤道アフリカの一部として統治され、その運命はフランスの植民地政策と密接に結びついていました。

初期の植民地化と領土紛争:

1889年、フランスはウバンギ川を航行拠点としてバンギ事務局を設置しました。これがフランスによる本格的な進出の始まりとなります。その後、1891年には上ウバンギがフランス領コンゴ内に設置され、1894年には独立した植民地となりました。しかし、ベルギー領コンゴとの間では領土問題が頻発し、特に1892年に設定された北緯4度線を境とする境界線は、多くの紛争を引き起こすことになりました。こうした紛争は、1895年になってようやく解決を見ることになります。1899年には上ウバンギはフランス領コンゴに併合されましたが、1900年には上シャリが設置されるなど、この地域の行政区分は頻繁に変更されました。上ウバンギ・スルタン国会社によるコンセッション方式での独占商業権の獲得も、この地域の経済と政治に大きな影響を与えました。

ウバンギ・シャリの成立とフランス領赤道アフリカへの編入:

1903年、上ウバンギと上シャリが統合され、フランス領コンゴから分離して「ウバンギ・シャリ」が正式に成立しました。その後、1906年にはチャド湖周辺の地域を合併し、「ウバンギ・シャリ・チャド」となりました。さらに1909年には、ベルギー領コンゴからゼミオ・スルタン国とラファイ・スルタン国を獲得するなど、領土拡大を続けました。しかし、1910年にはフランス領コンゴ、ガボンと合併し、フランス領赤道アフリカ(FEA)の一部となりました。この編入は、ウバンギ・シャリの独立性をある程度制限することになりました。第一次世界大戦後の1916年には、ウバンギ・シャリ・チャドとして一時的に分離されましたが、1920年にチャド湖周辺の地域を失い、1934年には再びフランス領赤道アフリカに編入されました。1937年にはフランスの海外県・海外領土として宣言され、フランスへのより強い結びつきを強調することになりました。

第二次世界大戦と独立への動き:

第二次世界大戦中は、1940年6月から8月にかけてヴィシー政権に従っていましたが、その後自由フランスに占領されました。戦後、ウバンギ・シャリでは独立を求める動きが強まりました。1958年12月1日、ウバンギ・シャリは中央アフリカ共和国と改名し、自治権を獲得しました。そして、1960年8月13日、中央アフリカ共和国として完全な独立を達成しました。

結論:

フランス領ウバンギ・シャリは、複雑な歴史を持つ地域です。領土紛争、植民地支配、そして独立への長い道のりは、この地域のアイデンティティと発展に大きな影響を与えました。植民地時代を通じて、ウバンギ・シャリの住民はフランスの支配下で生活し、経済的にも政治的にも大きな制約を受けてきました。しかし、独立後の中央アフリカ共和国は、自らの道を歩み始め、新たな歴史を刻み始めました。その後の発展や課題についても、更なる研究が必要不可欠です。この歴史を理解することは、現代の中央アフリカ共和国を理解する上で不可欠な要素です。

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