フランチェスコ・デ・ヴィコ

フランチェスコ・デ・ヴィコ（Francesco de Vico, 1805年5月19日 – 1848年11月15日）は、19世紀に活躍したイタリアの天文学者であり、イエズス会の司祭でもありました。彼の名前は、文献によっては「de Vigo」、「De Vico」、「DeVico」とも綴られています。

デ・ヴィコは、イタリアのマチェラータで生まれ、ウルビーノ大学で学びました。その後、1823年にイエズス会に入会し、1837年に正式な誓願を立てました。翌年の1838年には、コッレージョ・ロマーノ天文台の責任者に任命され、数学と天文学の講座を担当しました。

デ・ヴィコは、その生涯で2つの周期彗星と4つの非周期彗星を発見しました。彼の発見した彗星の中には、54P/de Vico-Swift-NEATや122P/de Vicoなどがあります。1847年には、アメリカの女性天文学者マリア・ミッチェルが発見したミッチェル彗星（C/1847 T1, 1847 VI）を、ミッチェルの発見からわずか2日後に独立して発見しました。当初、ミッチェルの発見のニュースがヨーロッパに届く前に、デ・ヴィコが彗星観測の発表を行ったため、この彗星にはデ・ヴィコの名前が付けられ、彗星発見者に与えられるデンマーク王の賞金もデ・ヴィコに贈られました。しかし、アメリカの天文学者たちの尽力により、発見者の名誉は最終的にマリア・ミッチェルのものとなりました。

デ・ヴィコは、彗星の発見以外にも、土星の環の隙間を観測したり、金星の自転速度を測定しようとしたりしましたが、後者については成功しませんでした。彼はまた、11等星までの星図を作成するプロジェクトを開始しましたが、1848年のイタリア革命によって研究は中断を余儀なくされました。デ・ヴィコは、政治的な混乱を避けるため、パリ、ロンドンを経てアメリカ合衆国に亡命しました。アメリカでは、ジョージタウン大学への移住を希望し、そのために協力者を募るため、ヨーロッパに戻る旅の途中でロンドンで病死しました。

デ・ヴィコの天文学への貢献は、後世にも大きな影響を与えており、月面にあるクレーター（デ・ヴィコ）と小惑星（20103）デ・ヴィコは、彼に敬意を表して命名されました。

デ・ヴィコの生涯は、天文学への情熱と政治的な混乱に翻弄された、激動の時代を生き抜いた科学者の姿を物語っています。彼の業績は、後世の研究者たちに大きな影響を与え、天文学の発展に大きく貢献しました。

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