フランツ・アルブレヒト・メッテルニヒ＝シャーンドル

フランツ・アルブレヒト・メッテルニヒ＝シャーンドル：旧諸侯家と広大な図書館を継承した生涯

1920年、シレジアのグロース・ラウデン城で生まれたフランツ・アルブレヒト・メッテルニヒ＝シャーンドルは、オーストリアの資産家で、名門ホーエンローエ家の血を引く人物でした。ドイツでは、ラティボル公、コルヴァイ侯、ホーエンローエ＝シリングスフュルスト侯子の称号を名乗っていました。彼の名は、オーストリア外相として名を馳せたクレメンス・フォン・メッテルニヒとの血縁関係からも注目に値します。

彼の生涯は、ヨーロッパの歴史的激動期と重なります。幼少期をシレジアで過ごし、1926年には母方の大叔母であるクレメンティーネ・フォン・メッテルニヒ＝シャーンドルの養子となりました。1939年に兄が戦死、1945年には父が亡くなったことで、若くしてラティボル＝コルヴァイ公爵家の家督を継承することとなります。

メッテルニヒ＝シャーンドルは、ニーダーエスターライヒ州のグラーフェンエッグ城とノイアイゲン城、そしてドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州にあるコルヴァイ修道院宮殿を所有していました。これらの城館は、彼の豊かな人生を象徴するだけでなく、歴史的にも重要な建造物です。中でも、コルヴァイ修道院宮殿は、特筆すべき存在でした。なぜなら、そこに収蔵されている『コルヴァイ侯爵家図書館』は、約7万4000冊もの蔵書を誇るドイツ最大の私設図書館の一つであり、彼の所有物であったからです。

この貴重な図書館の保存と活用に、彼は尽力しました。1985年から1998年にかけて、パーダーボルン大学とノルトライン＝ヴェストファーレン州との共同研究を支援し、蔵書のマイクロフィルム化にも尽力しました。これらの活動は、歴史的文献の保護と研究の発展に大きく貢献し、2003年にはドイツ連邦共和国功労勲章を受賞する栄誉に輝きました。彼の努力は、単なる資産家の枠を超えた、歴史と文化への貢献として高く評価されているのです。

1962年、ザルム＝ライファーシャイト＝クラウトハイム・ウント・ディーク伯爵夫人イザベラと結婚し、5人の息子をもうけました。2009年に亡くなった後、ラティボル＝コルヴァイ公爵家の家督は長男のヴィクトル・マルティンに継承されました。

彼の生涯は、旧貴族の伝統と近代的な文化保存への意識の融合を示す興味深いものです。広大な資産と歴史的建造物を継承し、その責任を全うしただけでなく、ドイツの文化遺産の保護に多大な貢献を果たした、まさに歴史に名を刻む人物と言えるでしょう。彼の遺産は、単なる富や称号以上の価値を持ち、今後の世代にも受け継がれていくことでしょう。彼の功績は、歴史研究者や図書館学者の間で、今後も高く評価され続けるに違いありません。

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