フリーダ・ケリー

フリーダ・ケリー：ビートルズを支えた女性

1945年、アイルランドのダブリンで生まれたフリーダ・ケリーは、10代の頃、家族と共にリヴァプールに移住します。16歳でタイピストとして働き始め、昼休み時間に訪れたキャヴァーン・クラブでビートルズのパフォーマンスを目撃、熱狂的なファンとなります。190回以上も彼らのライブを観たという彼女の情熱は、メンバーとの親交を育むことになります。

1962年、ビートルズのマネージャーとなったブライアン・エプスタインは、ケリーを秘書として招聘します。当時17歳だった彼女は、父親の反対を押し切り、この仕事を引き受けました。ケリーは秘書業務に加え、ビートルズの公式ファンクラブの運営も担い、その発展に大きく貢献します。当初は自宅をファンクラブの住所としていたため、毎日のように大量のファンレターが殺到しました。その後、事務所に移転しますが、それでも彼女は深夜までファンレターへの返事を書くなど、献身的に働きました。ファンクラブ会員向けの月刊誌の発行も監督するなど、多忙な日々を送ります。

ケリーはビートルズメンバーやエプスタインからの信頼も厚く、ほぼ毎日彼らと連絡を取り合い、密接に仕事をしていました。リヴァプールからロンドンへの事務所移転を機に辞職を検討した際には、エプスタインは彼女のリヴァプールでの勤務継続を提案、父親の了解を得て仕事は続けられました。1967年にエプスタインが亡くなっても、ケリーはビートルズのために働き続け、結婚、出産後も秘書業務に従事しました。1972年に正式に秘書を退職した後も、3年間ファンクラブ宛の手紙への返事を担当するなど、ビートルズへの貢献は長く続きました。その後は新たな秘書職に就きました。

長年、自身の経験を語ることはほとんどありませんでしたが、息子の死と孫の誕生をきっかけに、心境に変化が訪れます。そして、長年の友人でもある映画製作者ライアン・ホワイトと共に、自身の経験を基にしたドキュメンタリー映画『愛しのフリーダ』の制作に協力しました。クラウドファンディングで資金調達を行い、2013年にSXSW映画祭で初公開されたこの映画は、ビートルズがファンクラブ会員のために制作したクリスマス・レコードに由来するタイトルが付けられました。このレコードの中で、ジョージ・ハリスンはケリーの仕事への感謝を述べ、他のメンバーも「Good old Freda!」と呼びかけています。映画の最後には、リンゴ・スターからのケリーへのメッセージも収録されています。ケリーは、数々の申し出を断り続けてきた本の出版もせず、ビートルズの記念品の大半をファンの元に渡していた人物です。しかし、この映画によって、彼女のビートルズへの貢献が広く知られることとなりました。

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