フリードリヒ・シラー大学イェーナ

フリードリヒ・シラー大学イェーナ：歴史と伝統、そして現代への継承

ドイツ中部に位置する歴史都市イェーナ。その地で1558年に創立されたフリードリヒ・シラー大学イェーナは、450年以上にわたる歴史と伝統を誇る名門大学です。1934年には、ドイツを代表する文豪フリードリヒ・フォン・シラーにちなんで現在の名称に改称されました。

建学と隆盛の時代

大学の設立は、神聖ローマ皇帝カール5世の捕虜となっていたザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒの構想に端を発します。皇帝フェルディナント1世から憲章を与えられ、その後、彼の3人の息子によって実現へと導かれたのです。18世紀には学生数が増加し、大学は黄金時代を迎えました。特に、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの後援者でもあったザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ大公カール・アウグストの保護の下、ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル、フリードリヒ・シェリング、フリードリヒ・シュレーゲルといった錚々たる教授陣を迎え、フリードリヒ・シラーも教授として名を連ねた時代は、イェーナ大学が最も輝きを放った時期と言えるでしょう。

自由と革新の精神

イェーナ大学は、信教の自由を理念として設立されました。1816年に制定されたザクセン・ヴァイマル・アイゼナッハ大公国の邦憲法は、大学に自治と自由な言論を保障しました。この自由な学風は、自由主義とナショナリズムを掲げるブルシェンシャフト運動の中心地としてイェーナ大学を位置づけることになります。学生たちの自由への熱意は時に行き過ぎ、決闘の習慣も問題視されましたが、当時のドイツ大学の風土を反映した一面でもありました。18世紀末から19世紀初頭にかけては、政府の干渉により大学の勢いはやや衰えましたが、これはドイツ諸侯による民主主義への警戒心が背景にあったと考えられています。しかし、1848年の3月革命を機に、イェーナ大学の学生は「全ドイツ学生大会」をワルトブルクで開催、大学改革を強く訴え、ドイツ統一への機運を高めました。

20世紀以降の展開

20世紀に入ると、ツァイス社との協同出資や学生数の増加など、新たな発展を遂げます。2004年には約19,000人の学生、340人の教授を抱えるまでに成長しました。現在では、世界270以上の大学・高等教育機関と学術交流協定を締結し、「European universities」構想にも積極的に参加しています。

ゲーテとイェーナ大学植物園

1586年に開園したイェーナ大学植物園は、ドイツで二番目に古い大学薬草園です。17世紀以降、薬草だけでなく様々な植物が植えられるようになり、18世紀終わりにはゲーテがリニューアルに着手しました。ゲーテは、この植物園を理想の園として構想し、日本原産のイチョウの木を植樹したと言われています。このイチョウは、現在ドイツ各地で見られる街路樹のルーツになったとされています。

今後の展望

フリードリヒ・シラー大学イェーナは、歴史と伝統を基盤に、現代社会の課題に挑戦し続けています。国際的な学術交流を積極的に展開し、未来を担う人材育成に貢献しています。その歴史と伝統、そして革新的な姿勢は、これからも世界中の学術界に大きな影響を与え続けるでしょう。

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