フリードリヒ・シュレーゲル

カール・ヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン・シュレーゲルの生涯と思想

カール・ヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン・シュレーゲル（1772年3月10日 - 1829年1月11日）は、初期ロマン派の重要な思想家であり、文芸評論家、詩人、さらには小説家としても知られています。彼の思想は文学や哲学、歴史、政治、宗教と多岐にわたっており、特にカトリック教への改宗は彼の思想に深い影響を及ぼしました。彼の理論は19世紀のドイツ文学界において決定的な役割を果たしました。

兄弟と背景

シュレーゲルは、同じく有名な文学者で哲学者のアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルの弟として生まれました。二人はシュレーゲル兄弟として知られ、彼の思想的な道筋を互いに強く影響し合い、特に文学や哲学に関しての探求を深めることとなりました。彼はまた、サンスクリット語にも熟知しており、東洋の思想に対しても理解を深めていました。しかし、彼はセム語族について批判的であり、インド＝ヨーロッパ語族との比較においてその劣位を主張しました。

彼の妻、ドロテーア・シュレーゲルは、啓蒙哲学者モーゼス・メンデルスゾーンの娘であり、家族の思想的背景も彼の志向に大きな影響を与えました。

教育と若年期

シュレーゲルは1772年にハノーファーで、ルーテル教会の牧師の子として生まれました。幼少期にはシェイクスピア学者である伯父や兄の影響を受けて育ち、教育機関では法律を学ぶ一方で、古代文学と美学に情熱を注ぎました。

彼は1797年に『ギリシア人とローマ人』を、1798年にはその続編として『ギリシア人とローマ人における詩の歴史』を出版しました。これらの著作は、彼の文学的見地を広げるきっかけとなりました。

ロマン主義の探求

彼の著作の中でも特に重要なものは、1799年に執筆された小説『ルツィンデ』です。本作は自由や愛、芸術についての考察を含んでおり、その物議を醸すような告白的スタイルは彼の詩人としての評価に影響を与えました。1800年にはイェーナ大学の私講師として『超越論的哲学』の講義を行い、ロマン主義文学の基盤である雑誌『アテネーウム』の主宰者としても知られています。

この雑誌は、ロマン主義の初期思想を社会に広めるもので、彼自身の理論的・実践的な展開を示しました。

政治家としての道

1802年からはパリで哲学と東洋思想に関する講義を行い、その後ケルン大学で教壇に立ちます。1808年に発表した『インド人の言語と英知』は彼の名声を確立させ、同時にローマ・カトリック教会への改宗も行っています。これは彼がロマン主義が描く中世カトリック的な理想の世界に引かれた結果とも考えられています。その後はフランクフルトやウィーンに足を運び、政治家としても活動を展開しました。

晩年と死

1820年以降、シュレーゲルは自身の全集を編纂し、晩年には神秘主義的な思想を追求し続けました。1828年には『生の哲学』を執筆し、ドレスデン工科大学での講義を再開します。しかし、1829年1月11日、ドレスデンにてその生涯を閉じました。

主要な著作

シュレーゲルの重要な著作には、『ルチンデ』や『ロマン派文学論』があり、彼の思想を理解するための重要な資料です。また、彼の作品の中には、彼の思想や美学を語る上で不可欠なものが多く、本質的には彼の隆盛した時代の哲学や文学において重要な影響を与えたといえるでしょう。

もう一度検索