フリードリヒ1世 (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公)

ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公フリードリヒ1世：継承戦争と謎の死

フリードリヒ1世 (1357年頃 - 1400年6月5日) は、ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公、ヴォルフェンビュッテル侯として知られる14世紀後半から15世紀初頭にかけて活躍した重要な人物です。ヴォルフェンビュッテル侯マグヌス2世とカタリーナ・フォン・アンハルト＝ベルンブルクの長男として生まれ、リューネブルク侯ベルンハルト1世、ヴォルフェンビュッテル侯ハインリヒ1世を弟に持ちました。

フリードリヒ1世の幼少期は、父方の従兄弟であるブラウンシュヴァイク＝ゲッティンゲン公オットーの後見の下で過ごしました。1381年まで続いたこの後見期間を経て、成人したフリードリヒ1世は、父マグヌス2世と同じくリューネブルク継承戦争に巻き込まれます。しかし、1373年、フリードリヒ1世と弟たちはアスカン家のザクセン＝ヴィッテンベルク公との間で和平条約を締結。リューネブルク侯領は両家が交互に統治するという協定が結ばれました。

しかし、この協定は対立の終結には至りませんでした。戦争は続き、最終的に1388年、フリードリヒ1世は弟たちと共にリューネブルクを征服し、勢力を確立します。この勝利はフリードリヒ1世の支配を盤石なものとしたと言えるでしょう。

1400年、フリードリヒ1世はフランクフルトで開催された帝国会議に参加しました。この会議の主要な議題は、当時ローマ王であったヴェンツェルの廃位問題でした。伝承によれば、会議においてフリードリヒ1世は一部の貴族からドイツ王への選出を打診されたと言われています。しかし、この選出に全会一致の合意は得られず、フリードリヒ1世は会議を去ったと伝えられています。

この対立王への選出の是非については、確固たる文献的証拠がないため、歴史家の間でも意見が分かれています。重要なのは、会議から帰路についたフリードリヒ1世が、ヴァルデック伯ハインリヒ7世によって、家臣のフリードリヒ・フォン・ヘルティングスハウゼン、コンラート・フォン・ファルケンベルクと共に殺害されたという事実です。この暗殺の動機については諸説あり、ローマ王候補排除の企てであった可能性や、対立王選出説が後から暗殺の動機付けとして作られた可能性も指摘されています。

フリードリヒ1世の暗殺は、当時大きな衝撃を与えました。暗殺現場となったフリッツラー近くのクライネングリスには石の十字架が建てられ、フリードリヒ1世の遺体はブラウンシュヴァイク大聖堂に埋葬されました。フリードリヒ1世には男子がいなかったため、ヴォルフェンビュッテルの後継者は弟のベルンハルト1世とハインリヒ1世が継承することとなりました。

フリードリヒ1世は1386年にザクセン選帝侯ヴェンツェルの娘であるアンナと結婚し、2人の娘をもうけました。長女カタリーナはシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン伯ハインリヒ24世と、次女アンナはチロル公フリードリヒ4世と結婚しました。

フリードリヒ1世の生涯は、リューネブルク継承戦争における活躍、ローマ王選挙への関与、そして謎に包まれた暗殺という、劇的な出来事に彩られています。彼の短いながらも波乱に満ちた人生は、中世ドイツの歴史を理解する上で重要な一端を担っていると言えるでしょう。

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