フリードリヒ5世 (プファルツ選帝侯)

フリードリヒ5世の生涯と戦の舞台

フリードリヒ5世（Friedrich V.）は、1596年にドイツのオーバープファルツ地方に生まれました。彼の父はプファルツ選帝侯フリードリヒ4世、母はオランダ総督ウィレム1世の娘ルイーゼ・ユリアナです。1610年に父の死去に伴い、フリードリヒはプファルツ選帝侯に就任します。1613年にはイングランド王ジェームズ1世の娘エリザベス・ステュアートと結婚し、両国の連携を祝福されました。

1618年、ボヘミアで起きたプラハ窓外投擲事件がきっかけとなり、三十年戦争が勃発します。ボヘミアのプロテスタント貴族たちは、カトリックの神聖ローマ皇帝フェルディナント2世を排除するためにフリードリヒ5世をボヘミア王に選出しました。しかし、彼は1619年に王位を受けたものの、1620年の白山の戦いでハプスブルク家に敗れ、王位を失います。この出来事から、彼は「冬王」と呼ばれるようになりました。

冬王としての短い治世

フリードリヒ5世はボヘミアの王として非常に短い治世を送りました。彼には期待された軍事支援は訪れず、カトリック連盟による圧力が強まる中でほとんど孤立すると、一連の戦闘で劣勢に立たされました。1620年11月8日の白山の戦いでは、カトリック軍に大敗を喫し、フリードリヒ5世の短い王としての夢は終わります。

この敗北の結果、彼はオランダへ逃れ、亡命生活を余儀なくされました。1623年には、フリードリヒ5世の封地と選帝侯位を剥奪する勅令が発令され、その権利は同族に与えられました。彼はその後も交渉を試みるものの、外圧や自国の事情に翻弄され、復帰を果たすことはできませんでした。

家族と後世に残した影響

フリードリヒ5世は1613年にエリザベスと結婚し、数多くの子供をもうけました。彼の息子の一部は早くに亡くなりましたが、次男カール1世ルートヴィヒはプファルツ選帝侯として後世に名を残します。娘のゾフィーは、ハノーファー選帝侯エルンスト・アウグストと結婚し、イギリス王位継承権を持つ子孫を残しました。

彼の死後、フリードリヒ5世の名字はしばしば語られることはなくなりましたが、後世に残したその血筋が現在のイギリス王室に繋がっていることを考えると、歴史の表舞台には終わりを迎えたはずの王が今もなお生き続けているとも言えます。フリードリヒ5世の短い治世と複雑な運命は、混乱した時代の象徴となっています。

結論

フリードリヒ5世は、ボヘミア王としての冒険が破たんに終わったものの、その後の歴史に多大な影響を与えました。彼の存在は、政略結婚や国境を越えた同盟の重要性を示し、また彼の家族が受け継いだ王権は、後のヨーロッパ史における重要な一端となります。フリードリヒ5世の物語は、権力の変遷と共に生き続けることを私たちに教えてくれています。

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