フリーホイールハブ

フリーホイールハブとフリーアクスル：パートタイム4WD車の駆動系機構

パートタイム4WD車における課題

パートタイム4WD車は、状況に応じて2WDと4WDを切り替える車両です。悪路走行時のみ4WDを使用し、通常走行時は燃費向上と操縦性の向上のため2WDで走行することが望ましいです。しかし、2WD走行時には、駆動輪以外の車軸に繋がったドライブシャフト、デフ、プロペラシャフトが空転し、回転抵抗が発生します。この抵抗は燃費悪化、振動増加、ステアリングの重さ増加に繋がるため、課題となっていました。

フリーホイールハブ：駆動輪の切り離し

この課題を解決するために開発されたのがフリーホイールハブです。これは、ドライブシャフトから駆動輪を任意で切り離す機構で、主にパートタイム4WD車、特にクロカン4WDや4x4トラックなどに使用されています。フリーホイールハブを作動させると、車輪とドライブシャフトの接続が断たれ、4WDに切り替えても駆動力は車輪に伝わりません。

手動式フリーホイールハブ

旧式の4WD車には手動式が用いられていました。ハブ先端にツマミがあり、ドライバーが車から降りて操作する必要があります。トランスファーの状態に関わらずハブを切り替えられるため、悪路走行時には事前に直結状態にしておくことが推奨されます。また、副変速機付きの車両では、4Lレンジで2WD走行を可能にすることもできます。構造がシンプルで信頼性が高く、軽量であることから、一部のユーザーは自動式から手動式に交換するケースもあります。しかし、セキュリティ面で課題があり、第三者による不正操作のリスクがあります。

自動式フリーホイールハブ

近年の4WD車には、負圧、油圧、電気モーターなどで自動的にハブを切り替える自動式が採用されています。トランスファーの切り替えと同時にハブの切り替えが行われ、走行中の操作も容易です。燃費悪化のリスクも軽減されます。しかし、ハブの切り替えに一定の空走距離が必要なため、スタック状態からの脱出が困難になる可能性があります。悪路走行時は、事前に4WDに切り替えておく必要があります。

フリーホイールハブのデメリット

フリーホイールハブには、手動式の場合は操作に手間がかかり、自動式の場合は空走距離が必要になるというデメリットがあります。さらに、ハブの突出部分があるため、装着できるホイールの種類が限定される、悪路走行時に破損する可能性もあるなどの問題点もあります。

フリーアクスル：デフケース付近での駆動伝達遮断

近年では、フリーホイールハブと同様の目的でフリーアクスルが用いられるようになりました。フリーアクスルは、デフケース付近に設置され、デフとドライブシャフト間の駆動伝達を切り離します。多くの場合、バキュームダイヤフラムや電動モーターで動作する自動式です。

フリーアクスルのメリットとデメリット

フリーアクスルは、車体中央に機構を集中できるため、ハブをシンプルかつ軽量にできます。しかし、ハブとドライブシャフトが機械的に接続された状態のため、駆動損失の面ではフリーホイールハブに劣ります。また、片方のドライブシャフトのみを切り離すタイプでは、オープンデフに限定されるという欠点があります。

まとめ

フリーホイールハブとフリーアクスルは、パートタイム4WD車の燃費向上と操縦性向上に大きく貢献する機構です。しかし、それぞれのタイプに特有のメリットとデメリットを理解し、適切な選択と使用方法を行うことが重要です。 手動式と自動式、そしてフリーアクスルそれぞれの特性を踏まえ、車両の用途や使用状況に最適なシステムを選ぶことが、安全で快適な4WD走行に繋がります。

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