フリーマントル (西オーストラリア州)

フリーマントル：西オーストラリア州の豊かな歴史と活気に満ちた港町

西オーストラリア州パースの南西19km、スワン川河口に位置するフリーマントルは、人口約2万9000人の港町です。英国海軍の軍人チャールズ・フリーマントルにちなんで名付けられ、パースの外港として、州内最大の港湾施設を擁しています。古くからの港町として栄え、歴史的建造物が数多く残り、観光地としても人気を博しています。南極へ向かう各国の観測船が寄港するなど、国際色豊かな側面も持ち合わせています。

フリーマントルの歴史：植民地化から現代まで

西オーストラリアへのヨーロッパ人の最初の探検はオランダ人によって行われましたが、植民地は建設されませんでした。1827年、英国海軍ジェームズ・スターリング艦長のHMSサクセス号によるスワン川河口の調査報告書を基に、イギリス政府は「スワン川植民地」の設置を決定します。

1829年、チャールズ・フリーマントル艦長率いるHMSチャレンジャー号が到着、イギリス領であることを宣言しました。その後、スターリング艦長も到着し、本格的な植民地建設が始まりました。フリーマントルは一時スターリング艦長を補佐した後、現地を離れますが、スターリング艦長はスワン川河口付近を「フリーマントル」、20km上流の地点を「パース」と命名しました。スターリング艦長は後に西オーストラリア州総督に就任しています。

植民地建設には大量の囚人が必要とされ、1850年、フリーマントルは正式な流刑地となり、大規模な刑務所が建設されました。囚人船の受け入れは1868年まで続けられました。1881年にはフリーマントルとパースを結ぶ鉄道が開通し、1897年には港湾拡張工事により大型船の入港が可能となりました。当時、中東からラクダが輸入されており、ラクダの通行を考慮した交通法規もあったと言われています。1929年には市制が施行されました。

第二次世界大戦中は、フリーマントル港が太平洋戦域における連合国軍潜水艦基地となり、アメリカ、イギリス、オランダの艦船多数が集結しました。

フリーマントルの魅力：歴史的建造物と多様な文化

フリーマントルには、多くの歴史的建造物が現存しています。特に、囚人によって建設されたフリーマントル刑務所は、その歴史的価値から世界遺産に登録されています。

現在では、イタリア、ポルトガル、クロアチアなど、様々な国のコミュニティーが存在し、多様な文化が共存する街となっています。1987年のアメリカスカップ開催により世界的に知られるようになり、AFLチーム「フリーマントルFC（The Dockers）」も地元に愛されています。また、盛夏にはフリーマントルからパースに吹く清風「Fremantle Doctor」も有名です。

フリーマントルの姉妹都市

フリーマントルは、世界各国と姉妹都市提携を結んでいます。

Seberang Perai（マレーシア）1978年
横須賀市（日本）1978年
カーポ・ドルランド（イタリア）1983年
モルフェッタ（イタリア）1984年
フンシャル（ポルトガル）1996年

参考資料

Appleyard, R. T. and Manford, Toby (1979). The Beginning: European Discovery and Early Settlement of Swan River Western Australia, University of Western Australia Press. ISBN 0855641460. (初期の歴史)
* 池澤夏樹 著, 「氷山の南」,ISBN 978-4-16-380790-4

フリーマントルは、歴史と自然、そして多様な文化が融合した魅力的な街です。パースを訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

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