フルウィア (マルクス・アントニウスの妻)

フルウィアの生涯

フルウィア（紀元前83年頃 – 紀元前40年）は、共和政ローマの末期に生きた貴族の女性で、当時の主要な政治家と結婚し、ローマ政界に強い影響を及ぼしました。彼女はプブリウス・クロディウス・プルケル、ガイウス・スクリボニウス・クリオ、マルクス・アントニウスという著名な三人の夫を持ち、特にアントニウスの政治活動に大きな影響を与えたことで知られています。彼女の夫たちはすべてポプラレスの支持者であり、ガイウス・ユリウス・カエサルの側近でもありました。フルウィア自身も、自らの政治的意志をもって行動したことが多く、特にアントニウスを動かすことに成功しました。

生い立ちと初婚

フルウィアは、ローマまたはトゥスクルムで生まれ育ったと言われており、フルウィウス氏族に属していました。この氏族は、共和政ローマにおいて有力なプレブスの家系で、多くの執政官や元老院議員を輩出していました。フルウィアの父は演説中の優柔不断さから「バンバリオ」と呼ばれたマルクス・フルウィウスで、母はセンプロニアでした。

紀元前62年頃、彼女は最初の夫プブリウス・クロディウス・プルケルと結婚しました。二人の間には、息子プブリウスと娘クロディアが生まれ、夫妻は常に共に行動していました。しかし、夫クロディウスは紀元前52年に政治的敵対者との争いにより殺害され、フルウィアは悲嘆にむせび泣き、遺体を引きずってローマ中を回ることで彼女の愛情を示しました。

スクリボニウス・クリオとの結婚

フルウィアが未亡人の時期は短く、服喪期間が終了するとすぐに、彼女はスクリボニウス・クリオと再婚しました。クリオはクロディウスと同様に人気のある政治家で、彼女と結婚したことでさらに影響力を増しました。しかし、クリオは紀元前49年に内戦の最中、戦死してしまいます。この時、フルウィアは二人の子供を抱えており、再び未亡人となります。

アントニウスとの関係

フルウィアは未亡人としても政治的影響力を保持し続け、紀元前47/6年にマルクス・アントニウスと結婚しました。彼らの結婚は、アントニウスの政治的基盤を強化する狙いもありました。フルウィアはアントニウスに対して強い影響を持ち、彼の政策や兵士の支持を維持するために活躍しました。特に彼女は、アントニウスをオクタウィアヌスから守るために積極的に政治活動を行いました。

オクタウィアヌスとの対立

紀元前41年、オクタウィアヌスとアントニウスは敵対関係に陥り、フルウィアはローマにおける政治を牛耳っていました。彼女はオクタウィアヌスに対抗する運動を展開し、その影響力を保持していましたが、戦争が起きた結果、ペルシア（現ペルージャ）でアントニウスの軍に包囲されてしまいます。最終的にはアントニウスとの関係悪化により、彼女はオクタウィアヌスに対抗する道を選びました。

最後の時

フルウィアは、オクタウィアヌスとの戦争に敗れ、逃げることになりました。やがて彼女はアカエア地方に到達しますが、そこで病に倒れ、亡くなりました。彼女の死後、アントニウスはオクタウィアヌスの妹と再婚し、彼女との対立はさらに深まりました。

子女とその後

フルウィアとアントニウスの子供たちはその後の歴史にも影響を与えますが、アントニウスが失脚した後は運命を共にすることになります。フルウィアの子供たちは、後のローマ史に複雑な影響を及ぼしました。フルウィアは、ローマ政界における女性の影響力を象徴する存在として、今もなお語り継がれています。

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