フルーヒウの戦い

フルーヒウの戦い：ロシア・ウクライナ戦争における激戦地

フルーヒウの戦いは、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻の中で、スームィ州ショストカ地区のフルーヒウの町を中心に展開された一連の戦闘です。この戦いは、国境を越えたロシア軍の侵攻によって開始され、数ヶ月にわたって激しい戦闘と占領、そして最終的なウクライナ軍による奪還へと至りました。以下に、戦闘の経過とその詳細をまとめます。

戦闘の経過

2022年2月24日：侵攻開始と初期の戦闘

午前5時23分、ロシア軍はウクライナの国境を越え、バチフスク検問所を通過しました。この侵攻開始と同時に、スームィ州当局によると、18人の国境警備隊員を含む最大90人がバチフスクの国境検問所で捕虜となり、ロシア・ブリャンスク州のコキノ村へと連行されました。

バチフスク検問所を制圧したロシア軍は、ショストカの町へ向けて進軍を開始。フルーヒウとバチフスク間の幹線道路沿いで戦闘が勃発しました。この戦闘では、ガソリンスタンドが爆発し、ウクライナ兵1人が死亡、3人が負傷。フルーヒウ郊外での戦闘開始から1時間で、さらに11人のウクライナ兵が負傷しました。

正午にはロシア軍がフルーヒウを通過し、スームィ州知事はロシア軍がフルーヒウとロシア国境間の幹線道路、およびチェルニーヒウ州バトゥールィンを支配下に置いたと発表しました。しかし、午後4時24分には、ウクライナ軍がロシア軍の車列（T-72戦車15台と装甲車14台を含む）を破壊することに成功しました。その後、午後4時から午後11時30分まで、フルーヒウでは戦闘や砲撃は一時的に沈静化しました。

しかし、午後11時30分頃に、フルーヒウの南にあるペレモハ村とフルーヒウ中心部で戦闘が再開。ウクライナ軍第58独立自動車化歩兵旅団がロシア軍の車列を再び撃破しました。

2022年2月25日：戦闘の継続と民間人の被害

翌日、ドゥボヴィチへ向かうロシア軍の車列17台がフルーヒウを通過しました。この道中で、ロシア軍は民間車両に発砲し、男性1人が死亡するという悲劇が発生しました。2月25日の夕方には、ロシア軍がキプティ-バチフスク幹線道路を支配下に置き、道路を使用できないように障害物を設置。これにより、多くの車列が道路上で立ち往生することとなりました。

2022年2月26〜27日：捕虜の送還と停滞するロシア軍

2月26日には、24日にバチフスク検問所で拘束された国境警備隊員52人がウクライナに送還されました。しかし、依然として26人の警備隊員がロシアに拘留されたままでした。翌日には、3個のロシア軍BTG（大隊戦術グループ）がフルーヒウ付近で停止し、進軍が停滞しました。

2022年3〜4月：ウクライナ軍の反撃とロシア軍の撤退

3月1日の夕方、ウクライナ軍は侵攻初期からロシア軍に支配されていたキプティ-バチフスク幹線道路の一部を解放しました。しかし、この時点でスームィ州当局がフルーヒウに入れたかどうかは不明でした。3月2日には、前進グループの第5国境分遣隊の国境警備隊員が、ウクライナ軍の部隊とともに占領者を押し出し、スームィ州の州境に到達しました。

3月17日の午後には、フルーヒウのロシア軍がウクライナの他地域とのインターネットアクセスと電力を遮断しました。しかし、ウクライナ北東部攻勢の失敗により、ロシア軍は4月上旬にフルーヒウから撤退を開始。4月11日には、ウクライナ軍が残りのスームィ州地域、チェルニーヒウ州、キーウ州とともにフルーヒウを奪還しました。

戦闘の余波

ウクライナ軍によるフルーヒウ奪還後、花火技師がフルーヒウ近郊のオブロジキー村で1145個もの爆発装置を発見。また、ロシア軍はフルーヒウを含むスームィ州とチェルニーヒウ州の国境地域に対する砲撃を開始し、戦勝記念日の5月9日にはフルーヒウのユダヤ人墓地を砲撃しました。5月18日にはフルーヒウで10回の爆発音が確認され、7月1日にはロシア軍がフルーヒウを含む国境付近の複数の町を砲撃しました。7月18日には、再びフルーヒウに対する砲撃が行われましたが、この攻撃による死傷者は発生しませんでした。

まとめ

フルーヒウの戦いは、ロシアのウクライナ侵攻において、激しい戦闘が繰り広げられた重要な戦いの一つでした。国境検問所の制圧から始まり、市街戦、そして最終的なロシア軍の撤退と、戦況が大きく変動した地域です。戦後もロシア軍による砲撃が断続的に行われ、地域住民は依然として危険な状況に置かれています。この戦いの教訓は、紛争の悲惨さと、民間人がその影響を最も強く受けることを改めて示しています。

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