フレッド・ジャクソン

フレッド・ジャクソン：R&Bとソウル・ジャズを股にかけるテナー奏者

1929年に生まれたフレッド・ジャクソンは、アメリカ合衆国のテナー・サックス奏者として、特にR&Bとジャズの分野で活躍しました。

彼の音楽キャリアは、ジョージア州アトランタにおけるR&Bサックス奏者としてスタートしました。キャリア初期の重要な出来事として、1951年から1953年にかけて、当時人気を博していたロックンロール／R&Bのパイオニア、リトル・リチャードのバンドに参加したことが挙げられます。この時期、彼は歌手のビリー・ライトのレコーディングにも同行し、名門サヴォイ・レコードにいくつかの貴重な録音を残しました。

その後、彼は再びR&B界のスターたちとの共演を重ねます。特に1950年代後半には、絶頂期にあった歌手ロイド・プライスのバンドに加入し、そのコンサートツアーで演奏を披露しました。また、シンガーのチャック・ウィリスのバンドではリーダーを務めるなど、R&Bシーンにおいて重要な役割を果たしました。1961年には、ブルース界の巨匠B.B.キングとのレコーディングセッションにも参加しています。

1960年代初頭に入ると、ジャクソンはR&Bの世界で培ったスタイルをジャズの分野にも広げ、特にソウル・ジャズの録音を開始しました。この時期、彼は有名なジャズレーベル、ブルーノート・レコードでいくつかのセッションに参加します。ソウル・ジャズを代表するオルガン奏者であるジョン・パットンやベイビー・フェイス・ウィレットといったアーティストたちと共演し、その独特のテナー・サックスの音色を刻みました。

そして、1962年、フレッド・ジャクソンはブルーノートから、自身にとって最初で最後となるリーダー・アルバム『Hootin' 'n Tootin'』（フーティン・ン・トゥーティン）を録音しました。このアルバムには、後にモータウン・レーベルの伝説的ハウスバンド「ファンク・ブラザーズ」に加入することになるオルガン奏者のアール・ヴァン・ダイクが参加しており、ソウルフルかつファンキーな演奏が収められています。このリーダー作以降も、ジャクソンはブルーノートで行われた他のアーティストのセッションに何度か参加しましたが、その録音の多くは長らく未発表の状態が続きました。しかし、1998年に『Hootin' 'n Tootin'』がCDとして再リリースされた際に、これらの未発表セッション音源も初めて日の目を見ることとなりました。

1960年代半ばを過ぎてからも、フレッド・ジャクソンは音楽活動を続け、主にR&Bやソウル・ミュージックの分野で演奏を行いました。

主なディスコグラフィ

リーダー・アルバム

『フーティン・ン・トゥーティン』 - Hootin' 'n Tootin' (1962年、Blue Note)

参加アルバム

ベイビー・フェイス・ウィレット - 『フェイス・トゥ・フェイス』 - Face to Face (1961年、Blue Note)
ビッグ・ジョン・パットン - 『アロング・ケイム・ジョン』 - Along Came John (1963年、Blue Note)
ビッグ・ジョン・パットン - 『ザ・ウェイ・アイ・フィール』 - The Way I Feel (1964年、Blue Note)
ロイド・プライス - The Exciting Lloyd Price (1959年、ABC-Paramount)
ロイド・プライス - This Is My Band (1963年、Double-L)

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