フレッド・ハッチンソン

フレデリック・チャールズ・ハッチンソン（Frederick Charles Hutchinson, 1919年8月12日 - 1964年11月12日）は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル出身の元プロ野球選手、監督。右投左打。

選手としてのキャリア

1939年、ハッチンソンはデトロイト・タイガースでメジャーデビューを果たします。しかし、1941年は代打での出場が2試合のみに留まり、翌1942年からは第二次世界大戦のため4年間、海軍に従軍しました。

1946年にタイガースに復帰してからは、実質10年間で通算242試合に登板し、96勝75敗の成績を記録。持ち前のスピードこそありませんでしたが、頭脳的な投球術で1946年の復帰から1951年まで、6年連続で二桁勝利を挙げるなど、チームに大きく貢献しました。

1952年には、投手として登板しながらも、シーズン途中から兼任監督に就任。選手としては1953年に引退し、翌1954年まで監督業に専念しました。

指導者としてのキャリア

1955年、ハッチンソンは故郷のシアトルに戻り、パシフィックコーストリーグのシアトル・レイニアーズで監督を務め、チームを優勝に導きました。その手腕が評価され、1956年からはセントルイス・カージナルスの監督に就任し、1958年シーズン終盤までチームを指揮しました。

1959年7月8日、ハッチンソンはシンシナティ・レッズの監督に就任。前年のチーム勝率は.438と低迷していましたが、ハッチンソンは39勝35敗（勝率.527）という好成績を収めました。さらに1961年には、1940年以来となる21年ぶりのリーグ優勝をもたらし、その手腕を高く評価されました。

癌との闘い、そして早すぎる死

1964年、ハッチンソンはシーズン途中までレッズの指揮を執っていましたが、実は前年12月に癌と診断されていました。彼は病魔に侵されながらも、苦痛に耐え、チームのために采配を振るい続けました。シーズン終了後の10月19日には、翌年以降も監督として再契約を結びましたが、その直後の11月12日、フロリダ州の病院で45歳という若さでこの世を去りました。

功績を称える永久欠番とハッチ賞

レッズはハッチンソンが着けていた背番号『1』を、球団初の永久欠番に指定。その指定日は、彼と再契約を結んだ1964年10月19日となっています。また、翌1965年には、ハッチンソンの功績と彼のファイティングスピリットを称え、困難に立ち向かい、逆境を乗り越えてファンに勇気を与えた選手に贈られる「ハッチ賞」が制定されました。

さらに、ハッチンソンの死後11年経った1975年には、彼の故郷であるシアトルに、フレッド・ハッチンソンがん研究センターが設立され、現在も癌研究の最前線で活動を続けています。

ハッチンソンの野球に対する情熱と、不屈の精神は、多くの人々に感銘を与え、その名は今も野球史に刻まれています。

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