フレディー・アドゥー

フレディ・アドゥー：神童と呼ばれたサッカー選手の栄光と苦悩

フレドゥア・コランテング・"フレディー"・アドゥー（Fredua Koranteng "Freddy" Adu, 1989年6月2日 - ）は、ガーナ出身の元サッカー選手。フォワード、ミッドフィールダーとして活躍し、元アメリカ代表としても知られています。14歳10か月という若さでプロデビューを果たし、メジャーリーグサッカー (MLS) の最年少出場記録を保持していたことで、世界中から注目を集めました。

神童と呼ばれた少年

アドゥーはガーナの首都アクラ郊外の港町、テマで生まれました。幼い頃から大人に混じってサッカーボールを蹴り、その才能を発揮していたと言われています。8歳の時、母親がグリーンカードを取得したことを機に、家族でアメリカのワシントンD.C.へ移住。

アメリカで本格的にサッカーを学び始め、選手育成プログラムに参加。この頃、イタリアのインテルから契約を持ちかけられるほどの才能を見せていましたが、母親が契約を断っています。

2002年、12歳でIMGサッカーアカデミーに入所。2003年にはU-17世界選手権にアメリカ代表として出場し、4ゴールを挙げる活躍を見せます。そのわずか3か月後にはワールドユース選手権にも飛び級で出場。14歳という若さで世界から注目を集める存在となりました。

MLSでのデビューと活躍

2004年、MLSスーパードラフトを経てD.C. ユナイテッドとプロ契約。同年4月3日、MLS2004年シーズン開幕戦でプロデビューを飾ります。当時の14歳10か月という年齢は、2024年にキャバン・サリバンに更新されるまで、MLSの最年少出場記録でした。デビューから2週間後にはプロ初ゴールも記録しています。

プロ1年目は全30試合に出場し、5得点3アシストを記録。MLSカップ優勝にも貢献しました。その後もチームの主力として活躍し、リーグトップクラスの実力と評価されるようになります。2006年シーズンからはミッドフィールダーとして起用される機会も増え、守備面での成長も見られました。

海外移籍と苦難の時代

2006年1月にはアメリカA代表に招集され、A代表デビューを果たしますが、ワールドカップのメンバーには選出されませんでした。その後、U-20アメリカ代表の主将を務めるなど、世代別代表では中心選手として活躍しました。

2006年12月、レアル・ソルトレイクへ移籍。2007年6月にはポルトガルのSLベンフィカへ移籍しますが、出場機会に恵まれず、ASモナコ、CFベレネンセス、アリス・テッサロニキなど、様々なクラブへレンタル移籍を繰り返します。しかし、どのチームでも定着できず、スイスやデンマークのクラブで入団テストを受けるも不合格となるなど、苦しい時期を過ごしました。

2011年にアメリカへ帰国し、フィラデルフィア・ユニオンに在籍。その後もブラジル、セルビア、フィンランドなど、世界中のクラブを転々としました。2018年にはUSLのラスベガス・ライツに入団しますが、1年で退団。2年間の無所属期間を経て、2021年にスウェーデンのクラブに加入するも、コンディション不良のためすぐに解雇されています。

2024年7月にMLSの最年少出場記録が更新された際、アドゥーはすでに引退していたことが報じられました。

夢と現実

2006年にはチェルシーFCからの獲得オファーが報じられ、マンチェスター・ユナイテッドFCの練習に参加するなど、ヨーロッパの強豪クラブからも注目されていました。本人もレアル・マドリードでのプレーを夢見ていましたが、最終的にSLベンフィカへ移籍。しかし、その後のキャリアは期待されたほどの成功を収めることはできませんでした。

かつて「神童」と呼ばれ、世界中から注目を集めたフレディ・アドゥー。その才能は疑いようもありませんでしたが、様々な要因が重なり、期待されたほどの成功を収めることはできませんでした。しかし、彼の残した記録、そしてその波瀾万丈なキャリアは、サッカー史に名を刻むものとして、記憶されることでしょう。

弟のフロ・アドゥーもサッカー選手として、アメリカの世代別代表を経験しています。

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