フレデリック・ガルニエ

フレデリック・ルイ・ガルニエ

フレデリック・ルイ・ガルニエ（Frederic Louis Garnier, 1860年12月20日 - 1941年1月19日）は、明治時代から昭和初期にかけて日本で活動したフランス人カトリック司祭です。パリ外国宣教会に所属し、長崎や天草を中心に布教活動に尽力しました。

名前について

ガルニエの名前については、熊本県天草市大江にある銅像の碑文で「ルドヴィコ（ルイ）・ガルニエ」と紹介され、多くの文献やインターネット情報もこれに従っています。しかし、浜名志松（1987年）や竹森敏・竹森要（1990年）の著書では、彼のファーストネームを「フレデリック」としています。特に竹森の著書に掲載された「ガルニエ家の家系図」には、「フレデリック・ルイ・ガルニエ」というフルネームが記されています。これらの文献は、ガルニエ本人やフランスの親族との間で交わされた私信（日本語訳文）を資料としており、竹森自身もガルニエ本人やその親族と親交があったことから、情報の信憑性が高いと考えられます。そのため、本記事では「フレデリック・ルイ・ガルニエ」という名前を使用します。

生涯

フレデリック・ルイ・ガルニエは、フランスのオート＝ロワール県ル・ピュイ＝アン＝ヴレ市で生まれました。1885年12月に来日し、京都で日本語を習得した後、1886年に長崎県伊王島の大明寺教会へ赴任しました。その後、1888年には上五島の魚の目教会、1892年には天草の大江教会へと異動し、1927年までは崎津教会も兼任しました。彼は1941年1月、天草で亡くなるまでの49年間、質素な生活を送りながら島民への布教に献身しました。

ガルニエの功績として特筆されるのは、1933年に私財を投じて建設した大江教会の現会堂（通称「大江天主堂」）です。ロマネスク様式の大江天主堂は、ガルニエの布教活動の記念碑であると同時に、日本の大工職人がヨーロッパの教会建築技術を習得し、明治から昭和期にかけて日本各地に建てられた「天主堂」の代表的な例として、近代建築史上も重要な意味を持っています。

また、1907年には与謝野鉄幹・晶子夫妻らが『五足の靴』の取材でガルニエを訪問し、「パアテルさん」（神父の意味）という愛称で親しまれているフランス人宣教師として紹介しています。

参考文献

浜名志松『天草の土となりて ガルニエ神父の生涯』（日本基督教団出版局、1987年）
竹森敏・竹森要『天草からフランスに架ける橋 愛の手紙コレクション』（自費出版、1990年）

関連項目

* 五足の靴

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