フレデリック・ブルックス

フレデリック・P・ブルックス・ジュニア

フレデリック・フィリップス・ブルックス・ジュニア（1931年4月19日 - 2022年11月17日）は、アメリカのソフトウェア技術者および計算機科学者として知られています。彼はIBMのメインフレームであるSystem/360、およびそのオペレーティングシステムOS/360の開発を中心に業績を上げ、その過程を描いた著書『人月の神話』や論文『銀の弾などない』はソフトウェア工学やプロジェクト管理に大きな影響を与えました。これらの貢献から、ブルックスは1995年にアメリカ国家技術賞、1999年にはチューリング賞を受賞しています。

経歴および業績

ブルックスはノースカロライナ州ダーラムに生まれました。1953年にデューク大学を卒業後、1956年にハーバード大学から応用数学（計算機科学）の博士号を取得しました。彼の指導教官は著名な計算機科学者であるハワード・エイケンでした。

1956年、ブルックスはIBMに入社し、ニューヨークのポキプシーとヨークタウンで勤務を開始しました。彼は科学計算用スーパーコンピュータStretchや、国家安全保障局向けのIBM 7950 Harvestコンピュータの開発に関与しました。その後、System/360およびOS/360の開発グループのマネージャーとして活躍し、この技術において「コンピュータアーキテクチャ」の概念を広める役割を果たしました。

1975年に発表した著書『人月の神話』では、ソフトウェアプロジェクトにおけるブルックスの法則を提唱し、多くの開発者やマネージャーにとってのガイドラインとなりました。また、1986年の論文『銀の弾などない』では、全ての問題に通用する万能な解決策などは存在しないと論じ、このフレーズはソフトウェア設計に関する議論の中でよく用いられています。

ブルックスは1964年にノースカロライナ大学チャペルヒル校の計算機科学部の創設に尽力し、20年間学部長を務めました。2010年の時点でも、彼はそこで活発に研究を行い、特にバーチャルリアリティと科学的可視化を専門としていました。彼が行った最も重要な決定の一つは、バイトサイズを6ビットから8ビットに変更したことで、小文字を使用できるようにしたことだという意見も、技術的な貢献として評価されています。

ブルックスは、2005年にロンドンで行われたIEE/BCS主催のチューリングレクチャーで「デザインにおけるコラボレーションとテレコラボレーション」というテーマで講演を行いました。また、1994年にはAssociation for Computing Machinery (ACM)のフェローにも選ばれています。

ブルックスは福音派のキリスト教徒であり、InterVarsity Christian Fellowshipにおいても活動していました。

主な著作

ブルックスは多くの著作を残しています。代表的な著作には以下のようなものがあります。

• - 『人月の神話 - 狼人間を撃つ銀の弾はない』
• - 『No Silver Bullet: Essence and Accidents of Software Engineering』
• - 『Computer Architecture: Concepts and Evolution』
• - 『The Design of Design: Essays from a Computer Scientist』

受賞歴

彼の業績は広く評価されており、多くの賞を受賞しています。その中には、1995年のアメリカ国家技術賞、1999年のチューリング賞などが含まれています。

ブルックスの貢献は、ソフトウェア開発や計算機科学の発展において計り知れない影響を与え続けています。彼の理論や原則は、今日でも多くの技術者や研究者にとっての指南となっており、その影響力は今後も続くことでしょう。

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