フレンチプレス

フレンチプレスとは

フレンチプレスは、コーヒーや紅茶を抽出するための器具で、プランジャーを使って液体と粉を分離させるのが特徴です。1929年にイタリア人デザイナーのアッティリオ・カリマーニによって特許が取得されました。別名として、プレスポット、カフェプレス、コーヒープレス、コーヒープランジャー、カフェティエール（イギリス）、カフェティエールアピストンなど、さまざまな名前で知られています。

さまざまな名称

フレンチプレスは世界中で様々な名前で呼ばれています。例えば、イタリアでは「カフェッティエラアスタントゥッフォ」、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカでは「コーヒープランジャー」として知られています。フランスでは「カフェティエールアピストン」と呼ばれますが、一般的な商標であるメリオールやボダムという名前で呼ばれることもあります。イギリスとオランダでは「カフェティエール」と呼ばれており、これはフランス語でコーヒーメーカーやポットを意味します。アメリカとカナダでは、「フレンチプレス」または「コーヒープレス」という名称が一般的です。

歴史とデザイン

フレンチプレスのデザインは、時代と共に改良されてきました。最初の原型はフランスで作られたと考えられており、棒の先に金属製や寒冷紗のフィルターを取り付け、熱湯を入れたポットの中に押し込むというものでした。この原型を基に、1929年にアッティリオ・カリマーニが特許を取得しました。その後、ファリエロ・ボンダニーニによってデザインが改良され、1958年に特許を取得、フランスのマーティンSAというクラリネット工場で製造され、人気を博しました。さらに、イギリスのハウスホールド・アーティクルズ・リミテッド社やデンマークのボダム社によって、ヨーロッパ中に広く普及しました。

現在のフレンチプレスは、通常、ガラス製または透明プラスチック製の円筒形の容器に、金属製またはプラスチック製の蓋が付いています。その中には、金属やナイロンメッシュ製のフィルターが付いたプランジャーが隙間なく取り付けられています。

使用方法

フレンチプレスでコーヒーを淹れる際には、コーヒーフィルターを使う場合よりも粗挽きのコーヒー粉を使用する必要があります。細かく挽いた粉は水に浸した際に透過性が低く、プランジャーを下げる際に大きな力を要するためです。また、細かく挽いた粉はプレスフィルターの周りや粉自体が水を吸い込みやすく、詰まりの原因になります。

コーヒーを淹れる手順は、まず容器にコーヒー粉を入れ、93～96℃の湯を注ぎます。水450mlに対して約28gのコーヒー粉が目安です。湯を注いだら蓋をして、2～4分程度抽出します（抽出時間は容器の大きさによって異なります）。抽出が終わったら、プランジャーを押し下げてコーヒー粉を分離し、抽出液を注ぎます。抽出液は、別の容器に移し替えるのが望ましいです。なぜなら、フレンチプレス内にコーヒー粉と一緒にしておくと、コーヒーが渋く苦くなってしまうからです。しかし、これはフレンチプレスの利点とも言えます。一般的に、コーヒーの抽出時間は4分程度が最適とされています。約20分後にはコーヒーの風味が落ちるとも言われています。水出しコーヒーの場合は、望ましい濃度になるまで数時間浸出させる必要がある場合があります。

バリエーション

フレンチプレスは、他のコーヒーメーカーに比べて持ち運びが容易で、他の道具を必要としない点が魅力です。旅行用のマグカップのような形状のものは、ガラスよりも丈夫なプラスチック製で、飲み口の付いた蓋が付いています。また、重い金属製のパーコレーターやドリップフィルターを持ち運ぶのを好まない旅行者向けに、様々な形状の製品が販売されています。コーヒーの保温のために、サーモス容器のようなステンレス製の断熱容器タイプもあります。

その他、「引く」タイプのフレンチプレスもあり、これはメッシュかごに入れたコーヒー粉を抽出後、蓋の中に引き上げて粉を分離する方式です。また、容器上部の開閉部を閉めることで、抽出液からコーヒー粉を完全に取り除くことができる製品もあります。さらに、フレンチプレスは冷水で抽出するダッチコーヒーを作る際にも利用されることがあります。

紅茶について

コーヒーと同様に、フレンチプレスは茶葉を抽出する際にも使用できます。ティーポットの代わりにボール型の茶こしを使うイメージです。ただし、茶葉はプランジャーを押し下げた後も液中に浸ったままになるため、そのままにしておくと苦味が強くなってしまうことがあります。これを防ぐためには、抽出液をカップに直接注ぐのではなく、ティーポットに移し替えるのが良いでしょう。

まとめ

フレンチプレスは、その手軽さと多機能性から、世界中で愛されている抽出器具です。コーヒーだけでなく紅茶も楽しむことができるため、日々の生活で重宝するアイテムと言えるでしょう。

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