ブカツ道

ブカツ道

『ブカツ道』（ぶかつどう）は、2010年の春にCSチャンネルのWOWOWで放送された、高校の部活動を題材にしたオムニバス形式のテレビドラマシリーズです。この企画は、同時期に劇場公開された映画『武士道シックスティーン』の公開を記念して立ち上げられました。

本シリーズの大きな特徴は、映画『武士道シックスティーン』で主演を務めた若手女優、成海璃子さんと北乃きいさんの二人が中心となっている点です。二人は各話ごとに異なる設定で登場し、様々な部活動に所属する個性豊かな高校生を演じ分けています。学園生活における「部活動」という切り口から、青春期特有の悩み、喜び、成長といった普遍的なテーマを描いた、各話完結の全五話構成の短編ドラマ集として制作されました。

各エピソードはそれぞれ独立した物語であり、様々な監督や脚本家が手掛けることで、バラエティ豊かな視点と表現で「部活動」が描かれています。

各話のエピソード

第一話「桜の園」（成海璃子篇Ⅰ）
舞台は演劇部。ただ一人の部員として活動する孤独な女子高校生に訪れる、はかなくも切ない初恋の行方を繊細に描きます。演劇に打ち込む主人公の心の動きが見どころです。監督・脚本は古厩智之氏が担当しました。出演は成海璃子のほか、冨浦智嗣、川村亮介、岩清水華衣といった面々です。

第二話「お茶の薫り」（北乃きい篇Ⅰ）
茶道部での日常を通じて描かれるのは、主人公の女子高生が同性の先輩に対して抱く、尊敬とも憧れともとれる複雑な感情です。青春期のデリケートな心の機微を、北乃きいさんが好演しました。監督・脚本は永田琴氏が担当。高木古都、細田よしひこ、濱田岳らが出演しています。

第三話「練習とか面倒だし。」（成海璃子篇Ⅱ）
ユニークな名称の「まっすぐベースボール部」での出来事。熱血指導に燃える監督と、部活動への意欲が全く見られない高校生たちの対比がコミカルに描かれる青春ストーリーです。監督は犬童一心氏が務め、脚本は小林稔幸氏と犬童一心氏の共同。成海璃子の他、松居一代、椿姫彩菜、染谷将太など多彩なキャストが出演しています。

第四話「しあわせの味」（北乃きい篇Ⅱ）
家庭科部を舞台にした感動的なエピソード。主人公の女子高生が、幼くして亡くなった母親との大切な思い出である「卵焼き」の味を再現しようと奮闘する姿を描きます。料理を通じて過去の記憶と向き合い、成長していく姿が印象的です。監督は第一話に引き続き古厩智之氏、脚本はいながききよたか氏。村杉蝉之介、古村比呂が共演しました。

* 第五話「パシュっとな!」（成海璃子特別篇）
弓道部が舞台となる特別篇です。地味で目立たない存在だった女子高生が、不思議な力を持つ「誰でも好きになる矢」を手にしたことから始まる騒動を描きます。この回は、俳優として活躍する沢村一樹氏が初めて監督を務めた作品としても注目されました。脚本は山咲藍氏。成海璃子の他、朝倉あき、田辺季正、ミッキー・カーチスが出演しています。

作品全体の魅力

『ブカツ道』は、主演の成海璃子さんと北乃きいさんが、普段のイメージとは異なる役柄にも積極的に挑戦し、それぞれの魅力を発揮した作品群と言えます。演劇、茶道、野球、家庭科、弓道と、多岐にわたる部活動を題材に、青春期のリアルな日常や内面、人間関係が丁寧に描かれています。恋愛、友情、家族愛、自己肯定感など、普遍的な青春のテーマが、各話ごとに異なるテイスト（シリアス、コメディ、ハートフルなど）で描かれており、観る者は多様な物語を楽しむことができます。著名な監督や脚本家が多数参加していることも、作品の質を高める要因となっています。部活動に打ち込む（あるいは打ち込めない）高校生たちの姿を通じて、観る者自身の学生時代の記憶や、青春の輝きを思い起こさせるドラマシリーズです。

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