古厩智之

古厩智之：映画とドラマの両面で活躍する才能

古厩智之（ふるまやともゆき）氏は、1968年11月14日生まれの長野県出身の映画監督、テレビドラマ演出家です。長野県田川高等学校を経て日本大学藝術学部を卒業後、C&Iエンタテインメントに所属しています。女優・作家・映画監督である唯野未歩子氏を妻に持つことも知られています。

早期キャリアとブレイク

古厩氏のキャリアは、大学在学中に制作した『灼熱のドッジボール』が1992年のぴあフィルムフェスティバル（PFF）でグランプリを受賞したことに始まります。この受賞は彼に大きな転機をもたらし、奨学金を得て長編映画制作への道を切り開きました。1995年、26歳の若さで発表した長編デビュー作『この窓は君のもの』は、第35回日本映画監督協会新人賞を受賞。これは同賞史上最年少受賞記録として現在も残っています。同作品は塩尻市での自主上映も大成功をおさめ、地元紙で大きく取り上げられるなど、大きな話題となりました。この成功は、自主上映会「フロム・イースト」の発足にも繋がっています。

挫折と復活

しかし、成功の裏には苦悩もありました。PFFでの受賞について、古厩氏は後に「映画監督になるつもりも、就職するつもりもなかった。グランプリを取らなかったらニートになっていたかもしれない」と語っています。『この窓は君のもの』の撮影は、実家のある長野と山梨を往復する過酷なものでした。ベテランスタッフとの仕事に不慣れな面や、クランクイン直前のプロデューサー降板など、様々な困難に見舞われた彼は大きなプレッシャーを感じ、「現場が近づく度に腹痛に悩まされた」と振り返っています。この経験から一時的に「監督拒否症」となり、助監督や遊園地のアルバイトなどを経験。シナリオを書きながら、プロデューサーである仙頭武則氏に相談するなどしながら、6年の歳月を経て2001年に長編第2作『まぶだち』を発表しました。

テレビドラマへの進出と多様な作品

2002年10月からの『ケータイ刑事 銭形愛』をきっかけに、テレビドラマの演出も開始。その後、『ケータイ刑事 銭形シリーズ』全作品に携わり、シリーズ監督が本人役で出演した『ケータイ刑事 銭形零 2ndシリーズ』では、なんと殺人事件の被害者役として出演するというユニークな経験もしています。『BSアニメ夜話』へのゲスト出演なども含め、多方面で活躍を見せています。

国際的な評価と継続的な作品制作

2005年の作品『さよならみどりちゃん』は第27回ナント三大陸映画祭で銀の気球賞（準グランプリ）を受賞し、国際的な評価も得ています。その後も、『ホームレス中学生』、『武士道シックスティーン』など、幅広いジャンルの映画を手がけ、近年も精力的に作品を発表し続けています。

人物像とその他

古厩監督は、初期作品でヒロインを演じた清水優雅子氏と交際していた時期がありました。しかし、撮影後に別れたため、『この窓は君のもの』の撮影は複雑な心境の中で行われたそうです。また、里帰り中に家族と松本市美術館を訪れた際に、開催されていた「メアリー・ブレア原画展」で偶然1万人目の来場者となり、地元メディアに取り上げられるというエピソードも持っています。


古厩智之氏のキャリアは、才能と努力、そして困難を乗り越える強さを示すものです。彼の今後の作品にも期待が高まります。

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