ブガッティ・タイプ13

ブガッティ・ブレシア・タイプシリーズ：小型スポーツカーのパイオニア

1910年から1925年にかけて製造されたブガッティのブレシア・タイプシリーズは、同社最初の自動車であるタイプ13を皮切りに、タイプ15、17、22、23、25、26と続くモデル群です。小型軽量ながら優れたハンドリング性能を誇り、当時のレースシーンで大きな成功を収めました。これらのモデルは、後の小型スポーツカーの礎を築いたと言えるでしょう。

タイプ13：シリーズの幕開け

エットーレ・ブガッティは、1907年にドイツの会社と契約中にも関わらず、自宅の地下室で試作車タイプ10を製作しました。1909年に独立した後、タイプ10のコンセプトを継承したタイプ13の生産を1910年に開始します。タイプ13は、1327ccの水冷直列4気筒OHC8バルブエンジンを搭載し、最高出力22kW（30ps）を発生。ホイールベースは2000mmとコンパクトな設計で、最高速度は125km/hに達しました。1913年まで製造されました。

タイプ13ブレシア：16バルブエンジンの採用と栄光

1914年からは、タイプ13に排気量1368cc、1453cc、1493ccの3種類の16バルブエンジンを搭載したモデルが登場しました。この16バルブモデルは、1921年のイタリアグランプリで優勝。この偉業を称え、1921年以降の16バルブモデルは「タイプ13ブレシア」と呼ばれるようになりました。ただし、多くの場合、製造年に関わらず16バルブエンジン搭載車はタイプ13ブレシアと呼ばれています。

タイプ15、17：ホイールベースの延長とバリエーション

タイプ15（1912年）とタイプ17は、タイプ13のロングホイールベースバージョンです。タイプ15はホイールベースが2400mmに延長され、ラジエター形状もタイプ13の洋梨型から六角形に変更されました。エンジンはタイプ13と同じ1327ccの直列4気筒OHC8バルブです。一方、タイプ17のホイールベースは2550mmとなっています。さらに、タイプ15とタイプ17には、タイプ13ブレシアと同じ16バルブエンジンを搭載した「タイプ15ブレシア・モディフィエ」と「タイプ17ブレシア・モディフィエ」も存在します。

タイプ22、23：改良と進化

タイプ22（1913年）はタイプ15を、タイプ23（1913年）はタイプ17をベースに改良されたモデルです。タイプ22はラジエターが洋梨型に戻り、公道走行に適したボディが与えられました。ホイールベースはタイプ15と同じ2400mmで、エンジンは1327ccの直列4気筒OHC8バルブです。タイプ23はタイプ17と同じ2550mmのホイールベースと、同じエンジンを搭載し、著名な自動車評論家である小林彰太郎氏が所有していたことでも知られています。

タイプ25、26：異なるエンジン搭載モデル

タイプ25とタイプ26は、それぞれタイプ15とタイプ17のシャーシに、ブレシアモデルとは異なる1.6リットル8バルブエンジンを搭載したモデルです。

ブレシア・タイプシリーズの意義

ブガッティ・ブレシア・タイプシリーズは、小型で軽量、そして優れたハンドリングを兼ね備えたモデル群でした。その高い性能は、排気量が遥かに大きいライバル車と互角に渡り合うことを可能にし、後のスポーツカー開発に大きな影響を与えました。これらのモデルは、ブガッティというブランドの輝かしい歴史の始まりを象徴する存在と言えるでしょう。

参考文献

『世界の自動車大図鑑』株式会社ネコ・パブリッシング
三樹書房　M-BASE 街角のクルマたち　AtoZ 浅井貞彦-第28回　B項-9 [ブガッティ]

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