ブキティンギ

ブキティンギ：歴史と文化が息づく高原都市

ブキティンギ（Kota Bukittinggi）は、インドネシアの西スマトラ州に位置する、アガム高原の中央部に位置する都市です。その名は、現地語で「高い丘」を意味し、標高約900mに位置するため、年間を通して過ごしやすい気候が特徴です。かつてはアガム県の県庁所在地でしたが、現在は県から独立した市となっています。周囲をムラピ山、シンガラン山などの山々に囲まれ、美しい景観を誇ります。

歴史

この地は、古くから「商才に長ける」ミナンカバウ族の村として栄えていました。19世紀には、イスラーム慣習派とパドゥリ派の内紛にオランダが介入し、1825年にパドゥリ派を制圧するためにデ・コック砦が建設されました。この砦は、オランダ軍の将軍の名にちなんで名付けられ、ブキティンギの町もその名で呼ばれるようになりました。

第二次世界大戦中、日本軍がインドネシアに侵攻すると、ブキティンギには陸軍第25軍司令部が置かれ、スマトラ島全域を統括しました。その後、オランダとの独立戦争では、1948年にインドネシア共和国の臨時政府がブキティンギに樹立され、国家の命脈を保ちました。

1950年代後半には、中央政府に対する地方の反乱が起こり、1958年には西スマトラの反乱軍がブキティンギを首都とするインドネシア共和国革命政府を樹立しました。

日本との関係

ブキティンギには、日本軍政時代に建設された「日本の穴」と呼ばれる地下壕が存在します。この地下壕は、シアノック渓谷の断層を利用して築造されたもので、内部には複数の坑道や部屋があり、当時は軍事施設として使用されていました。

この地下壕については、様々な説が存在します。当初は、建設に従事した労務者が虐殺されたという説が有力でしたが、後に、単なる防空壕であり、建設中に犠牲者は出ていないという説も提唱されました。しかし、現在でも現地のガイドは、労務者が虐殺されたという説を説明することがあります。

この問題の背景には、第二次世界大戦中に建設されたスマトラ横断鉄道の存在があります。この鉄道の建設には、ジャワ島などから集められた多くの労務者が動員され、過酷な労働環境で多くの犠牲者が出たとされています。この歴史的な背景が、ブキティンギの地下壕に関する認識にも影響を与えていると考えられます。

観光

ブキティンギには、以下のような観光名所があります。

デ・コック砦: オランダ植民地時代に建設された砦で、歴史的な建造物です。
ンガライ・シアヌック峡谷: 壮大な自然景観が楽しめる峡谷です。
防空壕（日本の穴）: 日本軍が建設した地下壕で、歴史を学ぶことができます。
時計台（Jam Gadang）: ブキティンギのシンボルともいえる時計塔です。
* コタ・ガダン: 銀細工で有名な村で、ブキティンギから徒歩圏内にあります。

これらの観光スポットは、ブキティンギの歴史と文化、そして自然の美しさを体験できるでしょう。

文化

ブキティンギは、世界最大の母系社会として知られるミナンカバウ族の文化が色濃く残る地域です。ミナンカバウ族は、イスラームを信仰しており、その文化は、伝統的な建築物や衣装、食文化などに色濃く表れています。また、ミナンカバウ族は、商才に長けていることでも知られています。

姉妹都市

ブキティンギは、マレーシアのスレンバンと姉妹都市提携を結んでいます。

ブキティンギは、歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市です。訪れる人々は、その多様な魅力に触れ、忘れられない経験をすることができるでしょう。

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