ブジャーネ族

ブジャーネ族は、9世紀に現在のウクライナ周辺、西ブーフ川（ブク川）の上流域に居住していた東スラヴ民族の一派です。彼らの名前は、居住地を流れるブク川に由来するとされています。

11世紀末には、ブジャーネ族はヴォルィニャーネ族とも呼ばれていました。一部の研究者は、ブジャーネ族とヴォルィニャーネ族は、かつてドゥレーブィ族と呼ばれていた人々だと推測しています。

『原初年代記』には、ブジャーネ族はスラヴ語派の言語を話す部族の一つとして記録されています。彼らは230もの都市（要塞）を有し、その中心都市はブシクでした。これは、当時の東スラヴ民族の中でも、比較的大きな勢力を持っていたことを示唆しています。

10世紀になると、ブジャーネ族はキエフ大公国に組み込まれ、その独自性を失っていきました。キエフ大公国の勢力下に入ることで、彼らの文化や社会構造は徐々に変化し、他の東スラヴ民族との融合が進んだと考えられます。

キエフ大公国に組み込まれた後のブジャーネ族に関する詳細な記録は残っておらず、彼らは歴史の表舞台から姿を消しました。しかし、彼らが築いた文化や社会は、後の東スラヴ民族の歴史に少なからず影響を与えたと考えられています。

参考文献

Барсов Н. П., Очерки русской исторической географии（第2版） Варшава, 1885.
Третьяков П. Н., Восточнославянские племена, М., 1953.
和田春樹編『ロシア史』山川出版社、2002年。
國本哲男他訳『ロシア原初年代記』名古屋大学出版会、1987年。

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