ブチイシガメ

ブチイシガメ（Actinemys marmorata）

ブチイシガメは、ヌマガメ科に属し、独自のブチイシガメ属を構成しているカメです。北アメリカに広く分布し、特にアメリカ合衆国の西部地域で見られます。主に二つの亜種、キタブチイシガメとミナミブチイシガメが存在し、それぞれの特徴や生態には興味深い違いがあります。

分布

A. m. marmorata - キタブチイシガメ

キタブチイシガメは、オレゴン州西部からカリフォルニア州北部、さらにはネバダ州西部、ワシントン州の地域に生息しています。この亜種は最大のサイズを誇ります。模式標本の産地はワシントン州です。

A. m. pallida - ミナミブチイシガメ

ミナミブチイシガメは、カリフォルニア州南部やメキシコの一部に生息しています。模式産地はカリフォルニア州のコヨーテクリーク周辺であり、この亜種は形態的にキタブチイシガメとは異なる特徴を持っています。

形態

ブチイシガメの甲長は、最大で約24.1センチメートルに達することがあります。一般的にオスの方がメスよりも大型になる傾向があり、メスは最大20センチメートルほどです。背甲は扁平で、甲板にはキールが確認されず、色彩は多様で黄褐色や黒褐色、さらには灰色が見られます。

背甲の模様には多くの個体が斑点や放射状の模様を持っており、種小名の「marmorata」は大理石模様を意味します。これは背甲に見られる斑点が石の模様に似ていることに由来します。また、オスとメスで尾の形状や腹甲の凹みの程度に違いがあります。

生態

主に河川や湖など、水草が豊富な水域に生息しています。昼間は水中や日陰で過ごすことが多いですが、夏季には夜行性になる傾向があります。水中や陸上の両方で採食を行い、魚類や水生植物、果実など、幅広い食性を持っています。繁殖は卵生で、夏の間に交尾し、薄明薄暮時に特定の土の中に卵を産む行動が見られます。

繁殖と成長

卵は3〜4.3センチメートルの大きさで、孵化には約90〜126日かかります。性別は温度依存性で、環境の温度によってオスとメスの比率が変わります。特に、南部の個体群では、幼体が早くに地面に現れることが多いですが、北部では冬眠して翌春に出てくることが一般的です。

人間との関係

生息地の開発や水質汚染、ペット用の捕獲などにより、ブチイシガメの個体数は急速に減少しています。ペットとしての需要もあり、日本にも輸入されていますが、保護活動が重要な課題となっています。飼育においては、比較的容易に餌付く個体が多いため、若い個体が特に人気です。

ブチイシガメは生態系において重要な役割を果たしているため、今後の保全活動が重要です。

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