ブックエンド

ブックエンド（bookend）

書物を立てて並べる際に、その列が崩れたり本自体が倒れたりするのを防ぐために用いられる道具をブックエンドと呼びます。一般的に「本立て」とも称され、日本の文脈では「ブックスタンド」と呼ばれることもありますが、英語圏でブックスタンドと言うと、書見台や本を一時的に立てかける別の道具を指すことが多い点は注意が必要です。

概要

ブックエンドの主な役割は、立てて収納された本を安定させることです。特に文庫本やパンフレットのような薄い書籍は、冊数が少ないと自立しにくく、すぐに傾いたり倒れたりしてしまいます。本を横置きにすれば倒れる心配はありませんが、下にある本を取り出す際に手間がかかるため、効率的な本の収納には縦置きが適しており、それを可能にするのがブックエンドです。家庭の本棚や机の上はもちろん、図書館や書店、出版社の倉庫など、様々な場所で本の整理に不可欠なツールとして広く活用されています。

構造と材質

ブックエンドの多くは、金属製の板をL字形や逆T字形（垂直な板に底辺が付いた形）に折り曲げて作られています。この形状により、底辺部分が本の重みで固定され、立てられた本が横方向に倒れるのを効果的に防ぐ仕組みです。また、書架の棚板の下側に取り付けて、本を上から押さえるように使うU字形に曲げられた金属製のブックエンドも存在します。材質は金属製が一般的ですが、後述するように装飾性を重視した様々な素材のものがあります。

歴史

シンプルな金属板を加工したブックエンドは、既に19世紀後半、具体的には1870年代には海外で特許が取得されていた記録があります。その後、20世紀に入ると、特にアメリカの図書館用品会社であるDEMCO社が、著名なインダストリアルデザイナー、ブルックス・スティーブンスの協力を得て、ブックエンドのデザインをより現代的なものへと進化させました。さらに、1950年代から1960年代にかけては、DEMCO社を含む各社が新しい素材であるプラスチックの利用を積極的に試み始め、これによりブックエンドに利用できる色のバリエーションが大幅に増えました。

装飾

ブックエンドは単なる実用的な道具としてだけでなく、室内の装飾品、すなわちインテリアとしての側面も持っています。デザイン性の高いブックエンドは、本棚や机周りを彩るアクセントとなります。装飾用として人気のある素材としては、ブロンズ、大理石、木材などが挙げられます。中には、天然の大きな晶洞（鉱物の結晶が集まった空洞）を加工して作られた、ユニークで芸術的なブックエンドも存在します。このように、ブックエンドは機能性とデザイン性を兼ね備え、様々な空間で利用されています。

関連項目

• - 本棚

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