ブックオブウォーターマークス

ブックオブウォーターマークス（THE BOOK OF WATERMARKS）

『ブックオブウォーターマークス』は、1999年7月15日にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたプレイステーション向けの謎解きアドベンチャーゲームです。この作品は、シェイクスピアの戯曲『テンペスト』の設定を基にし、17世紀から18世紀のヨーロッパの文化や風俗、美的感覚を色濃く反映しています。

ゲームの特徴

このゲームでは、プレイヤーはネオクラシシズム様式の巨大な図書館や、ゴシック様式の壮大な大聖堂など、精巧にデザインされた建築物の中を探索しながら徐々に謎を解いていくことが求められます。特にその美麗なグラフィックは、他の著名な謎解きゲーム『MYST』とも比較されることが多いですが、本作はそれに比べて難易度が低く、初心者でも楽しめる内容となっています。実際のゲームプレイにおいて、謎解き自体は重要視されておらず、むしろその美術や音楽、タイトルが持つペダンティックな雰囲気を堪能することが主な楽しみどころです。

物語のあらすじ

物語は、ナポリの王子ファーディナンドが嵐に遭遇し、見知らぬ島に流れ着くところから始まります。そこで出会ったのは、元ミラノ大公のプロスペローという威厳ある老人です。プロスペローは、島の不思議な景観や壮麗な建物の数々が、彼が手にした13冊の魔法書の力によって創造されたものであると語ります。しかし、ある日魔法書のうちの一冊である「ウォーターマークスの書」を除いた他の12冊は消失し、プロスペローは魔力を失ってしまいます。これにより、彼が作り上げた魔法に守られたこの島は崩壊の危機に瀕しています。そこでプロスペローはファーディナンドに、失われた魔法書を探して島を探索するように依頼します。

魔法書の一覧

本作には、ゲームの核心となる12冊の魔法書が登場します。その中には、航海術や建築、幾何学といった知識が詰まった書物があり、特にそれぞれの書には独自の歴史と神秘が秘められています。以下はそのリストです：

• - ナビゲーターズ（THE FIRST BOOK NAVIGATORS）: 15世紀の船乗り向けの指南書。
• - 建築家（THE SECOND BOOK ARCHITECTS）: ゴシック建築の基盤を提示した書。
• - 幾何学原論（THE THIRD BOOK ELEMENTA GEOMETRIAE）: 幾何学に関する体系的な内容。
• - ラビリンス（THE FOURTH BOOK LABYRINTH）: 迷宮の設計手法を解説した書。
• - ファブリカ（THE FIFTH BOOK FABRICA）: 解剖学の進歩を促した書物。
• - テイル・オブ・ローズ（THE SIXTH BOOK THE TALE OF ROSES）: 愛をテーマにした詩集。
• - ネクロノミコン（THE SEVENTH BOOK NECRONOMICON）: 死に関する知識を集めた書。
• - アストロノミコン（THE EIGHTH BOOK ASTRONOMICON）: 占星術に関する内容。
• - 美学大全（THE NINETH BOOK AESTHETICS）: 美に関する哲学書。
• - ポリクロニコン（THE TENTH BOOK POLYCRONYCON）: 歴史に関する年代記。
• - ル・ヴィアンディエ（THE ELEVENTH BOOK LE VIANDIER）: 美食の文化を探求した書。
• - 沈黙の書（THE TWELFTH BOOK SILENCE）: 錬金術についての知識が集められたもの。
• - ブック オブ ウォーターマークス（THE BOOK OF WATERMARKS）: 地上の全ての本を管理する蔵書目録の書。この本の編纂は古代から始まり、現在も続いています。

スタッフとキャスト

本作はアーク・エンタテインメントによって制作され、ゲームクリエイターは小林孝志氏が担当しています。また、グラフィックデザインは尾鷲美絵氏、音楽はモイヤ・ブレナンとマーティン・オールコックが手がけています。主要キャラクターの声優には、プロスペロー役のジャック・ドナー、エアリアル役のマーク・ロングとブラッド・ナーゾが起用されています。

『ブックオブウォーターマークス』は、魅力的な物語と美麗な世界観が融合した作品であり、プレイヤーに豊かな体験を提供します。また、謎解きの難易度が低いため、誰でも楽しむことができるのも大きな特長です。

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