ブック・オブ・モルモン

『ブック・オブ・モルモン』

『ブック・オブ・モルモン』は、アメリカのミュージカルで、ウガンダの村で布教を試みる2人の若いモルモン宣教師の奮闘を描いています。2011年にニューヨークで初演され、トレイ・パーカー、ロバート・ロペス、マット・ストーンが共同で創作したこの作品は、モルモン教の教義や信仰をユーモラスに風刺しています。

背景と制作経緯

作品のアイデアは2003年、パーカーとストーンが「アベニューQ」を観覧した際に、ロペスと出会ったことから始まります。彼らは、コロラド州で育った背景もあり、モルモン教に対する親しみや関心を持っていました。この3人は後にソルトレイクシティに赴き、実際のモルモン宣教師や元宣教師へのインタビューを通じて、リアルな情報を集めました。

2008年には、プロデューサーが試験興行を省略していきなりブロードウェイでの公演を目指すことを決定し、2011年には制作に7年を要して、ついにブロードウェイでの公開が実現します。この作品は瞬く間に人気を博し、トニー賞ではミュージカル作品賞を含む9部門を受賞しました。

あらすじ

物語は、モルモン宣教師トレーニング・センターで始まります。生真面目な長老ケヴィン・プライスは、大いに期待してフロリダ州オーランドでのミッションを夢見ていましたが、運命のいたずらで信頼のおけない長老アーノルド・カニンガムと共にウガンダに送られることになります。そこで彼らは、慢性的な病気、飢饉、暴力といった現実に直面します。

ウガンダに着くと、村の人々は彼らを熱心に迎えるものの、困難な状況や無関心の壁に直面することになります。プライスは、村の人々にモルモン教の教えを伝えようと努力しますが、彼の試みは苦難続きで、次第に自信を失っていきます。カニンガムは、試行錯誤の中で自己を見つけ、次第に村人たちとの絆を深めていくことになります。

第2幕では、カニンガムが教義とSFを絡めた即興の話で村人たちを魅了し、彼らとの信頼関係を築き始める様子が描かれます。しかし、現実の厳しさや次々に訪れる困難に、再びフラストレーションを抱えるプライスは、最終的に真の信じる力とは何かを見出す旅に出ます。

音楽とキャスト

音楽には、ウィットに富んだ歌詞とキャッチーなメロディが用いられており、特に「Hasa Diga Eebowai」や「I Believe」などは話題を呼びました。オリジナル・ブロードウェイ・キャストのメンバーには、ジョシュ・ギャッドとアンドルー・レイノルズが名を連ね、彼らの実力は観客を釘付けにしました。

評価と影響

『ブック・オブ・モルモン』は、そのユーモアと鋭い社会的視点から多くの観客に愛されるようになりました。興行収入は5億ドルを超え、ミュージカル史上でも特に成功した作品の一つとなりました。また、作品が持つ宗教に対する風刺は賛否を呼びましたが、その反響は幅広い層に支持されています。

まとめ

『ブック・オブ・モルモン』は、ただの娯楽作品に留まらず、信仰、友情、そして人間の複雑な感情を探求する深みを持ったミュージカルです。観劇を通じて、観客は笑い、考え、そして心を打たれることでしょう。

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