ブライトライン (列車)

Brightline：フロリダを縦断する高速鉄道

Brightlineは、アメリカ合衆国フロリダ州を縦断する民間旅客鉄道です。マイアミ、ウェストパームビーチ、オーランド国際空港を結び、アムトラックのアセラ・エクスプレスに次ぐ高速列車として知られています。 フロリダ州では過去に幾度か高速鉄道計画が頓挫した経緯がありますが、Brightlineは民間主導で実現した画期的なプロジェクトと言えるでしょう。

幾多の困難を乗り越えて

フロリダ州では、2000年代初頭に高速鉄道計画が2度も住民投票で否決されています。1度目は公営による大規模な高速鉄道計画、2度目はオバマ政権の助成金を受けたタンパ〜オーランド間の計画です。いずれも資金調達や費用対効果の問題から頓挫しました。

こうした失敗を踏まえ、2012年、フォートレス・インベストメント・グループ傘下のFlorida East Coast Industries社（FECI）は、既存の鉄道路線を最大限に活用する民間高速鉄道計画「All Aboard Florida(AAF)Project」を発表しました。FECI社は、歴史あるフロリダ・イースト・コースト鉄道の路線を所有しており、そのインフラを有効活用することでコストを抑え、実現性を高めました。

2014年には事業会社All Aboard Florida社が設立され、連邦政府からの融資も獲得。2018年にはウェストパームビーチ〜フォートローダーデール間で先行開業、同年5月にはマイアミまで延伸しました。マイアミとウェストパームビーチ間はわずか1時間20分で結ばれ、利用者の利便性を大きく向上させました。

ヴァージン・グループとの提携と解消

2018年にはヴァージン・グループと戦略的提携を結び、「Virgin Trains USA」に名称変更しました。しかし、その後両社の提携関係は解消され、現在はBrightlineとして独立して運営されています。

さらなる延伸と将来展望

2019年にはボカラトン、アベンチュラ、ポートマイアミの3駅が開業し、2023年9月にはオーランド国際空港駅まで延伸されました。マイアミとオーランド間は約3時間半で結ばれるようになり、フロリダ州の観光や経済活性化に大きく貢献しています。

今後の計画としては、オーランド国際空港駅からディズニー・スプリングスへの延伸が予定されています。当初はディズニーの敷地内に駅を建設する計画でしたが、2022年にはルート変更が発表され、「サンシャイン回廊」と呼ばれる新たなルートで、サンレールとの共同運行区間として整備される予定です。この変更により、エピック・ユニバースやシーワールドなどに隣接するエリアに新駅が建設されることになります。

Brightlineの現状

Brightlineは、シーメンス・モビリティ製のディーゼル機関車と客車を運行しています。最高速度は路線によって異なり、新設区間では時速201km/hに達しますが、既設区間では法規制により速度制限があります。

年間530万人以上の利用が見込まれるBrightlineは、フロリダ州の交通インフラにおいて重要な役割を果たしています。民間主導による成功例として、今後の鉄道事業の展開においても注目される存在です。

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