ブライラ市電

ブライラ市電の歴史と運営

ブライラ市電（Tramvaiul din Brăila）は、ルーマニアのブライラ市における歴史的な路面電車で、1900年に開通しました。この市電は、ブライラ市の公共交通機関を担うブライカー（S.C. Braicar S.A.）によって運営されています。

歴史的背景

19世紀後半、経済的に発展を遂げたブライラでは、公共交通機関の整備が急務となりました。1880年代に初めて路面電車の導入が提案されましたが、実現には至りませんでした。1890年代にドイツのエリオス社から提案されたプロジェクトは、市からの承認を受け、1898年に建設が始まりました。

1900年6月19日、最初の路線が開通し、市中心部と観光地ラクサラト（Lacu Sarat）を結ぶこととなりました。以降、運営はヘリオス社が担い、1911年にベルギーの企業に運営権が売却され、その後1942年にブライラ市に移管されました。これ以降、共産主義と民主主義を経て運営組織は再編成を繰り返し、1998年から現在のブライカー体制に至りました。

共産主義時代・民主化後の変遷

共産主義時代には、路線の拡張が活発に行われ、1980年代には毎日10万人以上が利用するピークを迎えました。しかし、1990年代には老朽化が進み、メンテナンスコストや走行費用が増加し、車両の快適性も低下しました。そのため、1990年代にはドイツやオランダ、オーストリアから質の良い中古車両を導入し、安価な近代化が図られました。

2010年代からは、老朽化した軌道の改修が進められ、長期間の運休を経て大規模な工事が実施されましたが、2015年時点で完了した工事は限られており、依然として課題が残っています。ブライラ市は、これらの問題解決に向けて市電の近代化を重要視しています。

現在の運行状況

2020年現在、ブライラ市電では3系統が運行しています。運賃は通常2レイで、乗車区間や季節によって変わるサブスクリプション制度も導入されています。

車両の特徴

開業当初のブライラ市電は2軸車で運行されましたが、共産主義時代以降、ルーマニア製やチェコスロバキア製の車両が多数導入されました。しかし、こうした車両の老朽化が問題視されるようになったため、1990年代以降は欧州の中古車両が多数譲渡され、近代化が進められました。現在、2020年時点での営業用車両は15両のみとなっており、過去に導入された車両の中には廃車となったものも多くあります。

未来の展望

ブライラ市は、EUの支援を受けて公共交通機関の再建と近代化を進める計画を発表しています。一部の区間は電気バスに置き換える計画があり、残りの区間ではレールの改修工事が行われる予定です。また、新しい車両としてルーマニアの国産超低床電車「インペリオ」の導入も計画されており、2023年から2026年にかけて最大10両が納入される予定です。ブライラ市電の再生は、市の交通網の未来を左右する重要なプロジェクトとなっています。

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