ブラジル共産党

ブラジル共産党（Partido Comunista do Brasil、略称PCdoB）は、ブラジルにおける共産主義を政治理念とする政党です。現在の党首はルチアナ・サントスが務めています。PCdoBは、しばしば「ブラジルの共産党」と訳されることがあり、これは同じく共産主義を掲げるブラジル共産党（PCB）との区別を明確にするためです。

歴史的背景と成立

PCdoBは、1962年2月にブラジル共産党（PCB）から分裂する形で誕生しました。この分裂の背景には、当時のジョアン・ゴラール政権に対する評価の違いと、ソ連との関係を重視するPCBに対する不満がありました。PCBがソ連寄りであったのに対し、PCdoBは結成当初から中国共産党の影響を強く受けていました。その後、毛沢東主義やアルバニア路線などを経て、現在は自主独立路線を掲げています。

1964年3月、ブラジルでは軍事クーデターが発生し、ゴラール政権が倒されました。この後、PCdoBは軍政下で地下活動を続けましたが、1985年にPCBとともに合法化されました。1986年11月には、制憲議会を兼ねた総選挙で4議席を獲得しました。

1990年代以降の動向

1992年、PCBが共産主義を放棄し、党名を社会主義人民党（PPS）に変更する中で、PCdoBはブラジル左翼勢力の中核として存在感を示し、特に学生層の間で影響力を拡大しました。

1989年と1994年の大統領選挙では、PPSと共に労働者党（PT）のルーラ候補を支持し、2002年の決選投票でもルーラを支持、彼の当選に貢献しました。ルーラ政権下では閣僚（スポーツ相）を輩出し、与党の一翼を担っています。2006年には、党員であるアルド・レベーロが短期間ながら大統領代行を務めたこともありました。レベーロは、ルーラの後継者として2011年に大統領に就任したジルマ・ルセフの政権でも、スポーツ相、科学技術相、国防相を歴任し、PCdoBは引き続き与党として活動を続けています。

現在の状況

2015年時点で、PCdoBの党員数は約50万人に達しています。このうち、党費を納入している者と名前のみ登録している者を合わせた数字であり、党員の約6割が青年層によって占められています。これは、PCdoBが若い世代からの支持を厚く集めていることを示しています。

また、PCdoBは国際的な繋がりも持っており、日本の共産主義政党である日本共産党の第24回党大会（2006年1月開催）に代表を派遣しています。

機関紙と情報伝達

PCdoBの機関紙として、「労働者階級」という月刊紙が発行されていますが、かつてに比べて縮小されており、現在は4ページのみとなっています。党内での方針伝達は、主にインターネットを通じて行われています。これは、現代の情報伝達手段を活用し、党員間でのコミュニケーションを円滑にするための戦略と言えるでしょう。

歴代議長

歴代の議長については、詳細な情報が不足しているため、ここでは省略します。

まとめ

PCdoBは、ブラジルの政治において重要な役割を果たしている政党であり、特に左翼勢力の中で独自の立場を築いています。中国共産党の影響を受けた歴史的背景を持ちつつも、現在は自主独立路線を掲げ、ルーラ政権を支持するなど、現実的な政治活動を展開しています。多くの青年層を党員として抱え、ブラジルの社会変革を目指す重要な勢力の一つとして、今後も注目されるでしょう。

もう一度検索