ブラジル帝国

ブラジル帝国

ブラジル帝国（Império do Brasil）は、1822年から1889年にかけて南米のブラジルを統治した立憲君主制の国家です。この時代は、ブラジルが独立し、国際的な位置づけや社会の変遷を経て、最終的に共和国へと移行する重要な時期でした。帝国の国の標語は「Independência ou Morte!」（独立か死か）であり、国歌は「Hino da Independência」（独立賛歌）です。

歴史的背景

ブラジル帝国の歴史は、1808年に遡ります。この年、ポルトガルのブラガンサ王朝がナポレオン軍の侵攻から逃れる形でブラジルに移住し、リオデジャネイロを新たな首都としました。この移住により、ブラジルでは人口の増加と文明の進歩が見られました。1815年にはブラジルが王国に昇格し、その後1821年にはポルトガル王ジョアン6世が本国に帰還し、王太子ドン・ペドロをブラジルに残しました。この状況に対し、ポルトガルは統制を強化し、ブラジルの支配層との対立を引き起こしました。

独立への道

1822年、支配層はドン・ペドロを擁立し、ブラジルの独立を宣言しました。この独立宣言は、ポルトガル派とブラジル派の対立が激化している中でのものでした。ブラジルの独立は、「王国」としてではなく「帝国」という形が取られたのは、広大な土地の統一を図るための戦略でした。決してイスパノアメリカ諸国のように分裂しないためには、皇帝という存在が求められていたのです。

ドン・ペドロはブラジル皇帝として即位しましたが、ポルトガル王位の継承権をまた持っていました。1825年にはイギリスの仲介によって、ブラジル独立が国際的に承認されましたが、国内では内乱が続きました。

内乱と変革

1828年には、元々ブラジルの一部であったウルグアイが独立を求めて内戦に突入し、これがシスプラチナ戦争に発展しました。ブラジルはこの戦争に介入しましたが、結果的にウルグアイの独立が認められることになりました。この敗北はドン・ペドロ1世にとって大きな失点となり、その後の王位継承問題へと繋がります。

1826年にジョアン6世が死去すると、ドン・ペドロはポルトガルのペドロ4世として即位を宣言しました。ドン・ミゲルとの間で妥協が模索されましたが、ミゲルは約束を破棄し、その結果、ドン・ペドロはブラジル皇帝の座を長男のペドロ2世に譲りました。

ペドロ2世の治世とその後

新たな皇帝ペドロ2世は、長い在位期間中に国を安定させ、ウルグアイへの干渉から始まった三国同盟戦争も戦い抜きました。ペドロ2世は自由主義的な政策を採り、特に奴隷制の廃止に尽力しました。しかし、次第に健康を害し、治世の後半には統治の能力が低下しました。

1888年には奴隷制が廃止され、この政策は保守派にとって大きな打撃となりました。1889年、軍部のクーデターにより皇帝は廃位され、ブラジルは共和制へと移行しました。

帝国の遺産

ブラジル帝国の時代が終わった後も、その記憶は保守派の中には残っており、1993年に行われた国民投票では、一部の国民が君主制への回帰を選択しました。ブラジルの歴史における帝国という形態は、国のアイデンティティとその後の政治変遷に大きな影響を及ぼしました。

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