ブラックベリー (企業)

ブラックベリー：企業向けソフトウェアへの進化と日本市場での展開

ブラックベリー社は、かつてはBlackBerryシリーズのスマートフォンで世界的に知られたカナダ企業です。しかし、市場競争の激化によりスマートフォン市場でのシェアを低下させ、現在は企業向けソフトウェアや車載システム向けの組み込みソフトウェアに事業の中心を移しています。

初期の成功と市場からの撤退: ブラックベリーは、独自のモバイルメール端末BlackBerryで大きな成功を収め、2010年には加入者数が4700万人を超えました。しかし、AppleのiPhoneやAndroid搭載スマートフォンの台頭により、市場シェアは急速に低下。2012年には世界市場で3.4%、米国市場で2%まで落ち込みました。この状況を打開するため、2013年には社名をResearch In Motion LimitedからBlackBerry Limitedに変更し、スマートフォン事業からの撤退を模索し始めました。

事業転換と新たな戦略: スマートフォン事業からの撤退後、ブラックベリーは企業向けMobile Device Management（MDM）ソフトウェアや、車載システム向けの組み込みソフトウェアプラットフォームQNXの提供に注力するようになりました。QNXは、自動車の車載情報システムなどに広く採用されており、フォード・モーターなどとの提携を通じて事業を拡大しています。また、2015年には法人向けモバイル管理企業Good Technologyを買収し、企業向けサービスを強化しました。2016年には自社でのスマートフォン製造を終了し、Android端末の製造を中国TCLにライセンス供与しています。2022年には、モバイルデバイス関連の特許資産を6億ドルで売却し、自動車向けソフトウェアや企業向けセキュリティに経営資源を集中させることを発表しました。

日本市場への参入と展開: ブラックベリーは、日本市場においてもNTTドコモと連携し、BlackBerry端末や企業向けサーバー製品を販売してきました。BlackBerry端末は、ドコモのiモードメールにも対応していましたが、現在はAndroid、iOS、Windowsなど様々なOSに対応した汎用的な企業向けサーバー製品を提供しています。日本法人のブラックベリー・ジャパン株式会社を通じて、新明和ソフトテクノロジ、菱洋エレクトロなどの企業と提携し、法人向けサービスを展開しています。 2016年には、Android OS搭載のBlackBerry PrivをU-mobileを通じて日本で販売開始したほか、法人向けソフトウェア事業を再開しました。

歴史: ブラックベリーの歴史は、2001年に日本法人を設立したことに始まります。その後、BlackBerry Enterprise ServerやBlackBerry Internet Serviceなどの企業向けサービスを開始し、NTTドコモとの提携を通じて日本市場での展開を進めてきました。BlackBerry App Worldの展開や、様々なBlackBerry端末の発売、OSのアップデートなど、日本市場においても積極的に活動してきました。しかし、スマートフォン市場における競争激化に伴い、近年は新たな製品の投入は行われていません。

製品: ブラックベリーは、数多くのスマートフォンモデルを発売してきました。初期のモデルは独自OSを搭載していましたが、近年はAndroid搭載モデルを他社に製造委託しています。企業向けサーバー製品としては、BlackBerry Enterprise ServerやBlackBerry Unified Endpoint Management（UEM）などを提供し、多様なOSに対応するソリューションを提供しています。

まとめ: ブラックベリー社は、スマートフォン市場での成功と挫折を経て、企業向けソフトウェアや車載システムという新たな分野で成長を続けています。日本市場においても、NTTドコモなどとのパートナーシップを通じて、企業向けのソリューション提供に注力しています。今後の展開としては、車載システムや企業向けセキュリティ分野でのさらなる技術革新と市場開拓が期待されます。

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