ブラックマジック M-66

『ブラックマジック M-66』（ブラックマジックマリオシックスティシックス）は、士郎正宗の初期作品集『ブラックマジック』に含まれる短編「BOOBY TRAP」を基にしたOVAである。1987年 6月28日にエモーションからリリースされたこの作品は、原作と同じテーマを扱いつつも、主要な設定やキャラクターが新たに作り上げられている。

タイトルの意味

作品名に冠された「M-66」は、自律型の機動歩兵を指す。この型のアンドロイドは、軍事的な背景の中で開発されたものであり、物語ではその一体が暴走し、市街地で特殊部隊やジャーナリストと対峙することとなる。

原作との違い

原作「BOOBY TRAP」から構造は大きく変更されているが、アンドロイドが人間を危険にわからせるという基本的なストーリーは共通している。ただし、主人公は女性ジャーナリストシーベルに設定され、原作には登場しない新たなキャラクターたちもOVAの中で生まれた。

スタッフ

本作の監督は士郎正宗とアニメーター北久保弘之が務めており、士郎は原作・監督・脚本・絵コンテを担当し、北久保は監督・構成・キャラクターデザインを担当している。また、作画監督は沖浦啓之、メカニック作画監督は吉田徹が担当した。作画はアニメアールとアトリエ戯雅が主力となり、宇都宮智や大平晋也といった一流のアーティストが原画として参加している。

士郎はアニメ制作の経験がなく、初めて担当した絵コンテは宮崎駿の作品を参考にしたものであった。自身の漫画と同様に、枠外にメモを多く記載しつつ、演出に必要な情報は最小限にとどめて他のスタッフに託す形にした。士郎は、アニメ制作で行った仕事のほとんどを北久保が担ったと語っている。

あらすじ

物語は、軍のヘリが墜落するところから始まる。この轟音により、輸送されていた二体のM-66が解放され、住民たちに危険をもたらす。特殊部隊は極秘のもとで回収を試みるが、一体は自爆し、もう一体は逃げられてしまう。その後の調査で、M-66が開発者の孫娘フェリスを標的にしたデータを仮入力していたことが判明する。時間が経つにつれて、M-66はフェリスの命を狙い始め、軍人たちを次々と排除していく。

元々はスクープを追いかけていたジャーナリストのシーベルは、この騒動に巻き込まれ、フェリスをM-66から守るために戦いを繰り広げることとなる。

登場人物

- シーベル: 声 - 榊原良子。フリーのジャーナリストで、M-66との戦闘に巻き込まれる。
- ナラ・フェリス: 声 - 横山智佐。M-66に狙われるロボット工学の権威の孫娘。
- Dr.マシュー: 声 - 永井一郎。M-66の開発者。
- Dr.スレイド: 声 - 辻村真人。マシューの同僚。
- リチャード・リーキー: 声 - 水島裕。カメラマン。
- アーサー少佐: 声 - 小川真司。特殊部隊の指揮官。

スタッフと制作

本作の製作は、株式会社ネットワークと株式会社ムービックの共同によって行われ、数々の優れた監督やアーティストが参加している。音楽には片柳譲陽が携わり、独特の雰囲気を醸し出している。

『ブラックマジック M-66』は、士郎正宗の世界観を凝縮させた作品として多くのファンから支持され続けており、アニメと漫画の枠を超えた新たな表現を追求した試みの一つといえる。

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