作画監督

作画監督とは

作画監督（さくがかんとく）は、アニメーション制作においてキャラクターの作画スタイルや動きの統一を目指す職務を担っています。一般的には「作監」と略されることもありますが、その役割は非常に重要です。アニメーション作品のクオリティを左右するため、作画監督は原画の統一性を保つために、各話の原画を管理し、修正を行います。

アメリカと日本の違い

アメリカのアニメーションでは、特定のキャラクターごとに担当のアニメーターがつくため、絵柄のばらつきを抑えることが可能です。一方、日本ではカット毎に異なるアニメーターが担当することが一般的であり、このため同じキャラクターが異なるカットで描かれる際に、一貫性を欠くことが懸念されます。そこで作画監督が設置され、これを防ぐ役割を果たします。制作スケジュールに応じて、同一のテレビアニメでも複数の作画監督が作品に関与し、ローテーションで作画が行われることが少なくありません。

作画監督の主な業務

作画監督の主な責任は、レイアウトや原画の修正です。作画監督はその話の絵柄や動きの質を統一し、作画の全体的な品質を向上させます。場合によっては、レイアウトに特化した「レイアウト作画監督」や、原画に特化した「原画作画監督」として活動することもあります。デザインがキャラクターのスタイルから外れている場合や、アニメーターの技術が十分でない場合に、修正が行われます。時には、作画監督自身が原画を手がけることもあり、全ての原画を担当する場合もあります。

また、クオリティの問題がないカットは修正せずそのまま使用されることも多く、短期間での制作の場合には、充分な修正が行われないケースも見受けられます。さらに、作画監督によっては、原画マンの個性を尊重し、あえて絵柄の差異を受け入れる場合もあります。パチンコなどの遊技機制作では、全カットに作画監督が関与するのが一般的です。

作画監督の歴史

作画監督制度は1960年代に東映動画によって確立されました。最初にこの制度を用いた作品は1963年の『わんぱく王子の大蛇退治』という作品です。当初は単独の作画監督がキャラクターやメカニック、ビジュアルエフェクトを担当しましたが、1980年代からは専門別の作画監督を置くケースが増えました。近年では、一つの作品に複数の作画監督が関与することが多くなり、これには制作期間の短さが影響しています。

総作画監督

特にテレビシリーズ作品では、「総作画監督」と呼ばれる役職が設けられることがあります。これは、複数の作画班が存在する中で、異なる作画監督が各話で担当する際に求められるものです。総作画監督が存在することで、各話の作画スタイルの違いを調整し、全体としての絵の統一性を高めることができます。通常、キャラクターデザイン担当者が兼任しますが、各話ごとに異なる場合もあります。

この制度が普及する前は、各話ごとに作画監督が異なり、キャラクターの絵柄にばらつきが目立つことがありました。しかし、総作画監督制の導入によって、絵柄の不均一さは抑制されてきました。ただし、その一方で、個々の作画監督やアニメーターの個性が薄まるという副作用も生まれています。

まとめ

作画監督はアニメ制作において不可欠な存在であり、キャラクターの描写を一貫性のあるものに保つために重要な役割を果たしています。日本特有のアニメーション制作方式において、その役割は今後も変わらず重要であり続けるでしょう。

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