ブラック・スワン (映画)

ブラック・スワン（Black Swan）

『ブラック・スワン』は、ダーレン・アロノフスキーが監督を務めた2010年のアメリカ映画で、サイコスリラーのジャンルに属します。この作品は、日本ではR15+に指定されて公開されました。

概要

本作は、バレエの名作『白鳥の湖』の主演に選ばれた若きバレリーナが、精神的なプレッシャーにより心を蝕まれていく様子を描いています。主人公のバレリーナ・ニナは、ナタリー・ポートマンが演じ、彼女の振付師はヴァンサン・カッセル、競争相手のリリー役にはミラ・クニスがキャスティングされています。撮影は主に16mmフィルムを用いて行われ、特に地下鉄のシーンではキヤノンのデジタルカメラも使用されました。

映画は批評家から絶賛され、興行収入においても成功を収めました。第83回アカデミー賞では作品賞を含む5部門でノミネートされ、ナタリー・ポートマンは主演女優賞を受賞しました。彼女は役作りのために約10kgの減量を行い、さらに1年間にわたって厳しいバレエの訓練を受けました。しかし、ポートマンのダンスシーンにはボディダブルを使用した件が後に議論を呼びました。

ニナが着用する練習着のデザインは、日本人ダンサーの竹島由美子が手がけました。さらに、ポートマンは撮影終了後、共演していた振付師のバンジャマン・ミルピエと結婚し、子供をもうけました。

ストーリー

物語は、ニューヨークのバレエ団に所属するニナ・セイヤーズの視点から展開します。彼女は、元バレリーナである母親のエリカに厳しく育てられ、バレエに全てを捧げる日々を送っています。ニナは次回公演の『白鳥の湖』のプリマバレリーナに選ばれるチャンスを掴みますが、主役「白鳥の女王」に求められる二面性を表現できるかが試されます。

権威ある演出家トマは、純粋無垢な「白鳥」と、官能的で悪の「黒鳥」の二重性を演じる能力を求めますが、ニナの潔癖さは黒鳥の役には適さず、彼女にはプレッシャーがかかります。トマとの接触は思わぬ展開を呼び起こし、ニナは試練を重ねていきます。彼女は、リリーという新たなライバルに対する嫉妬や、母との葛藤を抱えながら、精神的に追い詰められていきます。

やがて、ニナは自我と現実との境を見失い、幻覚を経験し始めます。特に、クラブでの出来事やリリーとの関係が次第に混乱をもたらし、彼女の精神状態は悪化していきます。公演前夜、ニナは母親との劇的な対立を経て、自身の内なる欲望と向き合う決意を固めます。

クライマックスと結末

公演の日、ニナはついに「白鳥」としての役割を果たしますが、その途中で過去の幻想や母親の影が彼女を苛み、ついには自己を傷つけるという衝撃的な展開に突入します。彼女は完璧な演技を披露しますが、その影には暗い代償が隠されているのです。

受賞歴

本作は、ヴェネツィア国際映画祭での称賛も受け、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞において数多くのノミネートを獲得しました。特にナタリー・ポートマンの演技は高く評価され、多くの映画賞を手にしました。

結論

『ブラック・スワン』は、精巧に組み立てられたサスペンスと深い人間ドラマが展開される、視覚的にも感情的にも刺激的な作品です。バレエの美しさと、舞台裏の暗い側面が交錯したこの映画は、観る者の心に強く残ります。

もう一度検索