ブランズウィック襲撃

ブランズウィック襲撃事件（1748年）の詳細

1748年9月4日から6日にかけて、ノースカロライナ植民地のブランズウィック・タウンがスペインの私掠船によって襲撃された事件、ブランズウィック襲撃について解説します。

背景

1739年に勃発したジェンキンスの耳の戦争は、当初西インド諸島とアメリカ大陸で戦われましたが、後にオーストリア継承戦争に拡大し、大西洋を挟んでの戦いとなりました。スペイン政府は、ノースカロライナ、サウスカロライナ、ジョージアといったイギリス領の港町に対する襲撃と略奪を許可し、この時期は「スパニッシュ・アラーム」として知られています。イギリス本国はこれらの植民地に正規軍を駐留させていなかったため、各植民地は民兵隊を組織し、スペインからの攻撃に対抗していました。

ブランズウィック・タウンの港は、当時のノースカロライナで最も賑わいを見せる港であり、ヨーロッパやイギリス領西インド諸島への貨物輸送拠点として重要な役割を果たしていました。フィア岬は、スペインにとって格好の標的でした。1748年4月にはアーヘンの和約が締結されたものの、その情報はアメリカ植民地の一部にはまだ届いていませんでした。

襲撃の経緯

1748年9月4日、スペインの私掠船ラ・フォルトゥーナ号とラ・ロレッタ号がブランズウィック・タウン沖に停泊しました。町の住民たちは近隣の森へ避難し、スペイン人たちは抵抗を受けることなく町を襲撃、奴隷を略奪し、金目の物を奪いました。

翌日、ウィリアム・ドライ3世大尉がマスケット銃とピストルで武装した約67人の民兵を招集し、町の奪還を試みました。ドライは、ウィリアム・モア、シェンク・モア、エドワード・ウィンゲート、コーネリアス・ハーネット・ジュニア、ウィリアム・ロードらの協力を得て、9月6日に反撃を開始しました。また、ジョージ・ロナルズが1人の奴隷を提供しました。スペイン人たちは不意を突かれ、銃撃戦の末に敗退し、町から逃走しました。スペイン人側は10人が戦死、30人が捕虜となりました。撤退と砲撃の応酬の中、ラ・フォルトゥーナ号が突然爆発し、乗船していたスペイン人のほとんどが死亡しました。ラ・ロレッタ号の乗組員たちは同じ運命を辿ることを恐れ、離脱の許可を条件に降伏しました。

イギリス側はラ・フォルトゥーナ号を乗っ取り、座礁させました。その夜、ジョン・スワン少佐が増援部隊130人を率いてウィルミントンから駆けつけましたが、ブランズウィック・タウンの守備軍にスペイン軍と誤認されないよう、町の外で夜明けを待ちました。一方、スペイン人たちは闇夜に乗じて出航し、捕虜交換も終えないままブランズウィック・タウンから逃走しました。

反撃の際、町人数名が負傷し、守備軍からは1人の戦死者が出ました。ロナルズから提供された奴隷は、小型の大砲の爆発によって死亡しました。

その後

スペイン人がブランズウィック・タウンから完全に排除された後も、ラ・フォルトゥーナ号の残骸は川の中に残っていました。ドライは船員を雇ってそれを引き上げさせ、大砲、錨、町から盗まれた品々を回収しました。捕虜交換に間に合わなかったスペイン人たちは、残りの人生を奴隷として過ごすことになりました。ブランズウィック・タウンの住民によるこの報復により、スペイン人はウィルミントンを攻撃することを諦めました。そして、スペイン船からの略奪品によって、ブランズウィック・タウンはイギリス領北アメリカでも有数の裕福な町へと発展しました。

ブランズウィック・タウンはラ・フォルトゥーナ号から得た奴隷と貨物を売却し、その収入でブランズウィック・タウンのセント・フィリップ教会とウィルミントンのセント・ジェームズ監督教会を建設しました。スペイン人船長ロペスの船長室から略奪された「エッケ・ホモ」というタイトルの絵画は、1751年に完成したセント・ジェームズ監督教会にノースカロライナ議会から贈られました。この絵画は現在もセント・ジェームズ監督教会に所蔵されています。

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