ブランチインブランチ

ブランチインブランチとは

ブランチインブランチは、主に銀行などの金融機関において、合併や経営合理化を目的として導入される店舗運営形態です。具体的には、複数の支店を物理的に1つの場所へ集約し、1つの窓口で両方の支店の業務を扱う形を指します。店舗内店舗、店舗内支店、支店内支店とも呼ばれることがあります。

概要

ブランチインブランチは、旧三井住友銀行、旧みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ銀行などで実施されてきました。その主な目的は、合併後のシステム統合を円滑に進め、早期に店舗統合を実現することです。多くの場合、システム統合が完了次第、ブランチインブランチは解消され、店舗統合へと移行します。しかし、三菱UFJ銀行や三井住友信託銀行のように、システム統合後もブランチインブランチを継続したり、実店舗を削減する目的で利用したりするケースも見られます。地方銀行の筑波銀行や第二地方銀行のきらやか銀行でも同様の事例があります。

2010年代以降は、システム統合を伴わない、実店舗削減を目的としたブランチインブランチが増加しています。2007年に新銀行東京（現・きらぼし銀行）で初めて導入され、従来の店舗統合に伴う口座番号の変更や通帳の強制切り替えといった手間を省くために、名目上店舗を存続させる手段として利用されています。さらに、ブランチインブランチされた店舗が、店舗網整理のため、他の店舗に統合されるケースも出てきています。例えば、百十四銀行田町支店では、2019年10月に桜町出張所をブランチインブランチしましたが、1年も経たないうちに、同出張所ごと本店営業部に統合されました。

ATMの設置

ブランチインブランチされた店舗におけるATMの設置は、金融機関によって対応が異なります。旧みずほ銀行や旧三井住友銀行のように、一方の支店のATMのみを設置するケースと、りそな銀行や三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行のように、双方の支店のATMを併設するケースがあります。

店舗名の変更と統廃合

合併に伴い、「○○中央支店」や「○○駅前支店」と改称された店舗は、将来的な統廃合でブランチインブランチが解消される際に、廃止対象となることが多いです。特に都市銀行ではこの傾向が顕著です。

金融機関以外の事例

金融機関以外でブランチインブランチを実施した事例として、ヤマト運輸の宅急便センターが挙げられます。

関連事項

店舗の合理化手法として、以下のような手法も用いられます。

空中店舗: 主に法人向けの店舗として開設される
インストアブランチ: 主にリテール専門の店舗として開設される

まとめ

ブランチインブランチは、金融機関の経営効率化と顧客利便性向上を両立させるための戦略的な手法です。合併や店舗再編の過程で、一時的な措置として導入されることもあれば、実店舗削減のために恒久的な形態として採用されることもあります。その形態は、金融機関やその時の状況に応じて、柔軟に変化しています。

この形態の導入によって、金融機関は店舗運営コストを削減し、顧客は複数のサービスを一つの場所で利用できるようになるというメリットが生まれます。しかし、一方で、店舗の統廃合が進むことで、顧客が馴染みのある店舗がなくなるというデメリットも存在します。

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