ブランドX

ブランドX：イギリス発のジャズ・ロック・フュージョン・バンド

1975年、イギリスで結成されたブランドXは、ジャズ・ロックとフュージョンの要素を融合させた独特の音楽性で知られるバンドです。ジョン・グッドソール（ギター）、パーシー・ジョーンズ（ベース）、ロビン・ラムリー（キーボード）、ジャック・ランカスター（ウッドウィンド）ら、実力派ミュージシャンが集結しました。ドラマーには、ビル・ブルーフォードも参加を検討されましたが、キング・クリムゾンの活動との兼ね合いで実現せず、ジェネシスのフィル・コリンズが参加することとなりました。このことは、ブランドXが単なる「コリンズのソロ・プロジェクト」ではなかったことを示しています。

輝かしいキャリアと変遷

1976年のデビューアルバム『アンオーソドックス・ビヘイヴィアー』（邦題：『異常行為』）は、タイトなリズムと緻密な構成、そしてフュージョン色の強いサウンドで注目を集めました。イギリスのジャズ・ロック・シーンとは一線を画す、アメリカン・フュージョンからの影響を強く感じさせるスタイルは、多くのファンを魅了しました。その後も、1980年まで精力的に活動を続け、数々のアルバムを発表。どのアルバムもチャートの上位にはランクインしませんでしたが、その高い演奏技術と音楽性はジャズ・ロック・ファンから絶大な支持を得ました。

活動期間中には、メンバー間の音楽性の違いからバンドが二分する時期もありました。しかし、これは「分裂」というよりは、ブランドXの名を共有する複数のチームがそれぞれ活動するという、独自のスタイルでした。この流動的な活動形態も、ブランドXの個性の一つといえるでしょう。

1992年には、グッドソールとジョーンズを中心にバンドが再結成。1999年まで活動を続けました。そして2016年、再びグッドソールとジョーンズを中心に、旧メンバーと新メンバーを加え再々結成、ツアーを開始しました。しかし、2020年には創設メンバーのパーシー・ジョーンズが脱退。さらに、中心人物であったジョン・グッドソールが2021年に肺炎のため逝去、2023年にはロビン・ラムリーも亡くなりました。ブランドXの長い歴史に幕を閉じました。

多彩なディスコグラフィー

ブランドXは、数多くのアルバムを発表しました。

スタジオ・アルバム

『アンオーソドックス・ビヘイヴィアー』（Unorthodox Behaviour、1976年）
『モロッカン・ロール』（Moroccan Roll、1977年）
『マスクス』（Masques、1978年）
『プロダクト』（Product、1979年）
『ドゥ・ゼイ・ハート?』（Do They Hurt?、1980年）
『イズ・ゼア・エニシング・アバウト?』（Is There Anything About?、1982年）
『Xコミュニケーション』（Xcommunication、1992年）
『マニフェスト・デスティニー』（Manifest Destiny、1997年）

ライブ・アルバム

『ライヴストック』（Livestock、1977年）
ライブアルバム多数

コンピレーション・アルバム

『ミッシング・ピリオド　-異常行為前夜-』（Missing Period、1997年）
『Xファイルズ〜20イヤー・レトロスペクティヴ』（X-Files: A 20 Year Retrospective、1999年）
* その他コンピレーションアルバム多数

さらに、メンバーが参加した関連アルバムも多数存在します。ジャック・ランカスターとロビン・ラムリーによる『ピーターと狼』や『マースケイプ』、さらにはサラ・ピローとのコラボレーション作品など、ブランドXのメンバーは幅広い音楽活動を行っていました。

ブランドXの音楽的遺産

ブランドXは、商業的な成功は収めませんでしたが、独自の音楽性と卓越した演奏技術で、ジャズ・ロック・ファンに多大な影響を与えました。メンバーの変遷や活動休止を経ながらも、長年に渡り活動を続けた彼らの音楽は、今もなお多くの人々に愛されています。その音楽的遺産は、これからもジャズ・ロック・シーンにおいて重要な位置を占め続けるでしょう。そして、ブランドXは、ジャズ・ロックの歴史において、決して無視できない存在であり続けます。

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