ビル・ブルーフォード

ビル・ブルーフォード：プログレッシブ・ロックを彩った革新的ドラマー

ウィリアム・スコット・ブルーフォード（William Scott Bruford, 1949年5月17日 - ）は、イギリス出身のロックミュージシャン、ドラマー。

プログレッシブ・ロックの巨匠

ビル・ブルーフォードは、プログレッシブ・ロックを代表するイエス、キング・クリムゾン、ジェネシスという3大グループに在籍したことで知られています。彼のドラムプレイは、ジャズの影響を受けた独特のリズムとポリリズムを特徴とし、プログレッシブ・ロックの発展に大きく貢献しました。

ローリング・ストーン誌が選出した「歴史上最も偉大な100人のドラマー」では第16位にランクインしています。

ジャズへの傾倒と多様な音楽活動

ブルーフォードは、ジャズ志向のロックドラマーとして、自身のバンド「ブルーフォード」やフュージョンバンド「アースワークス」を率いました。また、カンタベリー系のゴングやナショナル・ヘルスとも数多くのセッションを重ね、その音楽性の幅広さを示しました。

名前表記について

日本では長年「ブラッフォード」という誤った表記が用いられてきましたが、本人の希望により、より原音に近い「ブルーフォード」に修正されました。本記事では、自伝の日本語版『ビル・ブルーフォード自伝』(2012年)に準拠し、「ブルーフォード」の表記を使用します。

生い立ちと初期の活動

ジャズ好きの姉の影響で幼少の頃からジャズに親しみ、15歳でバンド活動を開始。当初はベーシストとして活動していました。プロのドラマーとしてのキャリアは、サヴォイ・ブラウンのツアーから始まりましたが、バンドの解散により、本人はこれを正式なキャリアとは認めていません。

イエスへの加入と黄金時代

音楽誌の広告を通じてジョン・アンダーソン、クリス・スクワイアと出会い、イエスに加入。デビュー・アルバム『イエス・ファースト・アルバム』(1969年)を録音し、ライブ活動を精力的に行いました。

イエスのアルバム『時間と言葉』(1970年)、『イエス・サード・アルバム』(1971年)、『こわれもの』(1972年)、『危機』(1972年)でドラマーを務め、バンドの黄金時代を支えました。特に『危機』では、彼の独特なポリリズムが際立っています。

キング・クリムゾンへの加入と即興演奏

1972年、ロバート・フリップ率いるキング・クリムゾンに加入。『太陽と戦慄』(1973年)、『暗黒の世界』(1974年)、『レッド』(1974年)に参加し、イエス時代とは対照的な、激しい即興演奏を披露しました。

ソロ活動とU.K.

キング・クリムゾンの解散後、ソロアルバム『フィールズ・グッド・トゥ・ミー』を発表。その後、ジョン・ウェットン、アラン・ホールズワース、エディ・ジョブソンらとU.K.を結成しますが、アルバム1枚で脱退。1979年には、ホールズワースやデイヴ・スチュワートらとブルーフォードを結成しました。

キング・クリムゾン再結成と電子ドラムの導入

1981年、キング・クリムゾンの再結成に参加し、当時最先端だった電子ドラム「シモンズ」を使用したポリリズムを披露。1994年の再々結成では、アコースティックドラムへの回帰を志向しましたが、フリップとの意見の相違から1997年に脱退しました。

アースワークスとジャズへの回帰

1986年にはジャズバンド「アースワークス」を結成し、電子ドラムを自在に操る奏者として名を馳せました。また、イエスの再結成プロジェクトであるアンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウにも参加しています。

引退とその後

2009年にライブ活動からの引退を表明しましたが、レコーディングなどのスタジオ活動は継続しています。2017年には、イエスのメンバーとしてロックの殿堂入りを果たしました。

機材へのこだわり

ブルーフォードは、演奏するバンドやプロジェクトによってドラムセットを大きく変えています。黄色を好んでドラムシェルを統一していた時期もありました。1981年からはシモンズの電子ドラムを使用し、アコースティックドラムと組み合わせた独自のセッティングを確立しました。

音楽史における功績

ビル・ブルーフォードは、プログレッシブ・ロックの発展に大きく貢献したドラマーであり、その革新的なプレイスタイルは、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。彼の音楽は、時代を超えて愛され、評価されています。

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