ブリジット (GUILTY GEAR)

ブリジット：揺れ動くアイデンティティと進化

ブリジットは、アークシステムワークスの2D対戦格闘ゲーム「GUILTY GEAR」シリーズに登場するキャラクターです。2002年の『GUILTY GEAR XX』でデビューした際、外見は少女でありながら実は少年であるという設定が、大きな衝撃を与えました。

生い立ちと葛藤

物語の舞台となった村では、双子の男児は不吉とされていました。そのため、ブリジットは富豪の息子でありながら、双子の兄の存在を隠し、女の子として育てられました。少女のような外見や言動は、幼少期からの環境によるものでした。両親が苦悩していることを知ったブリジットは、自らが男性として生きることで、村の迷信を覆そうと決意します。賞金首として追われていたギア・ディズィーを捕獲するため旅に出ますが、それは高額な懸賞金が解除された後だったというコミカルな一面も持っています。

『GUILTY GEAR -STRIVE-』では、ディズィーの捕獲には失敗したものの、賞金稼ぎとしての才能を開花させ、実家への仕送りを続けることで、故郷の迷信をなくすことに成功しました。しかし、目標を失ったブリジットは、賞金稼ぎを続けながら、本当にやりたいことを見つける旅に出ます。

キャラクター

一人称は「ウチ」で、明るく楽しいことが大好きで、少し天然ボケな性格です。武器はヨーヨーのように扱える「YOYO」で、これを駆使したトリッキーな戦法を得意とします。外見は金髪のエメラルドグリーンの瞳をした童顔で、シスターのような服装をしています。その容姿から女性と間違われることも多いですが、ジョニーなど一部のキャラクターには男性だと見抜かれています。

トランスジェンダーとしての自己

『GUILTY GEAR -STRIVE-』では、故郷の迷信が解けた後、改めて男性として生きようとしますが、女性的な自分と男性的な自分の間で葛藤します。ゴールドルイスやカイとの交流を経て、最終的には自分に嘘をつかないことを決意し、「女」と自認するようになりました。

この設定変更は、国内外で大きな議論を呼びました。一部のユーザーからは批判的な意見もありましたが、多くのメディアは、ブリジットが差別的な呼称から解放されたと肯定的に評価しました。

男の娘ブームの先駆け

ブリジットは、その登場当初から「男の娘」の先駆けとして認識されてきました。オタク文化史研究家の吉本たいまつ氏は、ブリジットを現代の「男の娘」の直接的な先祖であると考察しています。ブリジットの登場は、女装した少年に対する「萌え」という感情を確立し、男性向けジャンルの萌え要素の一つとして定着させました。

2002年には、ブリジットをメインにした同人誌即売会「鰤計画」が開催され、多くの女装コスプレイヤーが参加しました。これは、女装コスプレイヤーが活躍する場を広げ、「男の娘」文化の形成に大きく貢献しました。

ゲームシステム

ブリジットは、YOYOを駆使したトリッキーな戦法を得意とします。YOYOを画面内に配置し、そこから様々な必殺技を繰り出すことができます。防御力は低いものの、リーチの長い通常技と豊富な切り返し手段を持ち、総合的な防御能力は高くなっています。

声優と制作秘話

ブリジットの声優は、シリーズを通して小西寛子が担当しています。企画当初、ブリジットが男性であることはスタッフにも隠されており、多くのスタッフが女性キャラクターだと思って開発を進めていました。

まとめ

ブリジットは、「GUILTY GEAR」シリーズにおいて、そのジェンダーアイデンティティを巡る設定変更を通して、常に議論の的となってきたキャラクターです。しかし、彼女の存在は、ゲーム業界におけるLGBTQ+キャラクターの表現の可能性を広げ、多様性を受け入れる社会の実現に向けて、重要な一歩を踏み出したと言えるでしょう。

彼女のテーマ曲である「Simple Life」や「The Town Inside Me」は、彼女の複雑な内面と、前向きに生きようとする姿勢を表現しています。ブリジットは、これからも多くの人々に愛され、記憶されるキャラクターであり続けるでしょう。

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