ブリストル 188

ブリストル188に関する詳細

ブリストル188（Bristol 188）は、1950年代にブリストル飛行機社によって製造されたイギリスの超音速実験機です。この機体はその細長いデザインから「火炎鉛筆（Flaming Pencil）」というニックネームを持っています。

設計と開発

イギリス空軍は、高速（マッハ3）偵察機の開発を考慮しており、その実現のためにはマッハ2以上での運用に関するデータを収集する必要がありました。そのため、1953年に運用要求ER.134Tが策定され、実験機の製作が求められました。この実験機では長時間にわたりマッハ2での飛行を行い、高速航空機における空力加熱を調査することが目的でした。機体の表面温度は約300℃に達することが予想されました。

数社がこの革新的な計画に参画を希望し、最終的にブリストル飛行機が契約を得ました。この機体は「タイプ188」として知られ、3機が製造されました。一機はテストベッドとして利用され、残りの二機は飛行試験用に使われました。1954年1月には機体番号XF923とXF926が付与され、両機は飛行可能となりました。当初は偵察爆撃機アブロ730の開発支援として追加で3機が発注されましたが、1957年の防衛白書によってその計画は中止となりました。

ブリストル188では、空力特性を考慮した新しい製造法が確立されました。二種の特別なステンレス鋼が使用され、外皮の製造にはハニカム構造が採用されました。また、アルゴンガスを使ったアーク溶接技術が取り入れられ、リベットに代わって使用されました。これにより製造は遅れましたが、性能を重視した結果と言えます。

特に超音速飛行を視野に入れた設計においては、可変ジオメトリーの空気取り入れ口が採用されました。これにより、エンジンは機体ではなく主翼に取り付けられることになりました。当初はロールス・ロイス製のエンジンが計画されていましたが、1957年にはデ・ハビランド社製のジャイロンジュニアDGJ10Rエンジンが選定されました。このエンジンにより、ブリストル188はマッハ2での飛行が可能となりました。

しかし、このエンジンの特性により、航続時間が非常に短く、初期のテストパイロットによると、超音速に達するためのさらなる問題が発生しました。この結果、各種空力モデルが製作され、ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントでのテストが行われました。

運用歴

1960年5月、初号機が加熱及び非加熱の構造試験のためRAEに納品されました。地上滑走試験は1961年4月に実施されたものの、初飛行は1962年4月に遅れました。最終的にXF926が1963年4月に初飛行を行い、ここで51回の試験飛行が実施され、マッハ1.88の速度が記録されましたが、燃料消費が激しかったため、その長時間の超音速飛行は実現できませんでした。

計画は様々な困難に直面しました。超音速飛行の目的で開発されたブリストル188でしたが、燃料の消費量が多く、十分な評価ができないまま飛行試験は続けられました。

1964年に計画の全てが中止され、XF926の最後の飛行は1964年1月に行われました。プロジェクトの総費用は2000万ポンドに達し、イギリスの実験機開発では最高額となりました。

現存機

両機は1966年に射撃試験の標的として移送されましたが、XF926は1972年にコスフォードのイギリス空軍博物館に展示され、XF923は解体されました。

ブリストル188に関する技術データは、後続の航空機開発に影響を与え、その教訓はコンコルドの設計にも引き継がれました。

もう一度検索