ブリーガ・アルタ

ブリーガ・アルタ：国境に抱かれた静寂の村

ブリーガ・アルタは、イタリア共和国ピエモンテ州クーネオ県に位置する、人口わずか約50人の小さなコムーネです。ピエモンテ州の最南端に位置し、フランスとの国境に接しています。この村は、イタリア国内でも定住人口が最小規模のコムーネの一つであり、人口密度は1人/km²を下回るという、イタリアで唯一の場所です（2011年現在）。

名称の由来

ブリーガ・アルタという名前は、「高地のブリーガ」を意味します。これは、この村が位置する地理的な特徴を反映したものです。

地理

位置と広がり

ブリーガ・アルタは、クーネオ県の最南端、ひいてはピエモンテ州の最南端に位置し、西側はフランスとの国境となっています。コムーネの領域は、伊仏国境に沿って南北に細長く伸びており、南はリグーリア州のインペリア県に突き出すような形をしています。また、北西には飛び地が存在します。

行政上の中心地であるピアッジャは、コムーネの最南部に位置しています。ピアッジャは、タンドから東へ12km、インペリアから北西へ31km、県都クーネオから南南東へ37km、ニースから北東へ57km、州都トリノから南へ110kmの距離にあります。コムーネ北部には、分離集落であるウペガとカルニーノがあります。ウペガはピアッジャから北北西へ5km、カルニーノはウペガから北北東へ2kmの位置関係にあります。

地勢

ブリーガ・アルタは、伊仏国境となっているリグリア・アルプスの東麓に位置し、タナーロ川の最上流部に位置しています。タナーロ川の源流となる2つの河川が、この地から流れ出しています。コムーネの最高地点は、北西部に位置するマルグアレイス山で、標高は2651mです。マルグアレイス山は、リグリア・アルプスの最高峰でもあります。

歴史

ブリーガ・アルタは、かつてブリーガ・マリッティマ（現在のフランス領ラ・ブリギュ）の一部でした。この地域は、中世以来、「イタリア」と「フランス」の間で複雑な領有権の変更が繰り返されてきた場所です。1947年のパリ条約により、リグリア・アルプスの主稜線上に国境線が移動され、ブリーガ・マリッティマの大部分はフランス領となりました。しかし、主稜線の東側に位置するピアッジャ、ウペガ、カルニーノはイタリア領として残り、ブリーガ・アルタとして新たなコムーネとなりました。

文化と観光

マルグアレイス山一帯は、マルグアレイス自然公園として指定されており、豊かな自然が保護されています。ブリーガ・アルタは、その静かで美しい景観、そして国境の歴史を今に伝える村として、訪れる人々を魅了しています。

交通

ブリーガ・アルタへのアクセスは容易ではありません。主要な国道は通っておらず、最寄りの国道28号線までは約10kmの距離があります。ピアッジャへは、インペリアから車で約1時間、フォッサーノからは約1時間半の道のりです。かつての本村であるラ・ブリギュへは、直線距離では近いものの、山脈を隔てているため交通は不便です。自動車で向かうには、一旦南東へ出てから山道を迂回する必要があり、約3時間かかります。

ブリーガ・アルタは、その地理的な孤立と歴史的な背景から、独特の文化と景観を保ち続けています。訪れる人々は、静寂の中で自然と歴史に触れ、特別な時間を過ごすことができるでしょう。

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